檜皮葺

檜皮葺（ひわだぶき）とは

檜皮葺（ひわだぶき）は、日本古来の屋根葺き技法であり、主に檜（ひのき）の樹皮を素材として用います。この方法は日本特有であり、外国では類似の技法は見られません。日本国内の文化財や歴史的建造物においては、檜皮葺の屋根を見ることができます。2020年には「伝統建築工匠の技：木造建造物を受け継ぐための伝統技術」がユネスコの無形文化遺産に登録され、その中には「檜皮葺」と「杮葺（こけらぶき）」が含まれています。これらはしばしば混同されますが、製法や使用される材料が異なる点に注意が必要です。

材料となる檜

檜皮葺に使われる檜は、樹齢70〜80年以上、幹径が60センチメートル以上のものが望ましいとされています。この条件を満たす生木から剥がれた樹皮が使用されます。樹皮を採取する際には、樹木の甘皮や絹皮を慎重に残すことで、樹木にダメージを与えずに済みます。樹皮は約8〜10年で再生可能ですが、その再生皮は初回の樹皮よりも厚みが増しており、品質も向上すると考えられています。採取作業は湿潤な4月〜7月を避けて行われ、専門の職人「原皮師」（もとかわし）が行います。この仕事は高度な技術が求められますが、後継者の不足が最近の課題となっています。また、檜を採取する場所は山主の好意に依存しており、山主の交代時にさまざまな問題が生じることがあります。

檜皮の加工

採取された檜皮は、檜皮葺師によって加工されます。この加工の過程は「拵え」（こしらえ）と呼ばれ、檜皮葺師の作業の約3/4を占めます。最初に節や枝を取り除いた後、檜皮を長さ75センチメートル、幅15センチメートルになるよう成形し、さらに数枚を重ねて叩き込み、1枚の檜皮へと仕上げます。屋根に使用する材料は、平葺皮や軒付皮などさまざまで、その用途に応じて何十種類もの形に成型されます。

葺き方の手法

檜皮葺のプロセスでは、まず屋根の軒先を厚く見せるために檜皮を積み重ねて、数十センチの軒付を作ります。葺足（ふきあし）は1.2センチメートルの間隔で、檜皮を6ミリメートル重ねて施工します。5枚重ねた後、竹釘と屋根金槌を使用して固定していきます。この作業は繰り返され、軒先は釿（ちょうな）という道具で美しく整えられます。完成した屋根は約10センチメートルの厚さとなり、その耐用年数は30〜35年とされています。

歴史的背景

檜皮葺の歴史は古く、皇極天皇の新宮殿が檜皮葺であったことが記録されています。それ以前は、大王宮や多くの建物が茅葺であったことから、画期的な技術とされています。最古の記録は668年にさかのぼり、崇福寺の堂がその例です。 ancak、当時の技術が現代の技術とどれほど異なっていたのかは不明で、竹釘を用いた方法がいつも行われていたわけではありませんでした。飛鳥時代以降、主な寺院建築は瓦葺きが一般的でしたが、檜皮葺は附属の建物に使われることが多かったです。平安時代以降、檜皮葺が格式の高い技法と認識され、公的な儀式の場でも使われるようになりました。現在の技法は、鎌倉時代以降に成立したものとされています。

代表的な建築物

檜皮葺の技術が用いられている国宝建築には、仁科神明宮本殿、大善寺本堂、出雲大社本殿、厳島神社の本殿および廻廊、北野天満宮本殿、賀茂別雷神社本殿と権殿、吉備津神社本殿など多くあります。

檜皮葺の技法は、その美しさや伝統を受け継ぐ重要な文化遺産として、今日も多くの建物に息づいています。

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