尾上松助 (6代目)

六代目尾上松助（1946年～2005年）は、日本の歌舞伎界を代表する役者の一人です。東京都出身の彼は、華麗なる芸能一家に生まれ育ちました。父は新派の名脇役である春本泰男、妻は元新派女優の河合盛恵、弟には清元流三味線方の清元邦寿と歌舞伎役者である大谷桂三、そして長男は二代目尾上松也、長女は新派女優の春本由香と、家族全員が芸能界で活躍する才能豊かな一族でした。

彼の歌舞伎への道は、二代目尾上松緑への師事から始まりました。菊五郎劇団の一員として、二代目松緑や七代目尾上菊五郎ら大物役者たちを支え、研鑽を積んでいきます。1954年、歌舞伎座『源氏物語』で尾上緑也の名で初舞台を踏むと、その後は順調にキャリアを重ねていきました。1971年には二代目尾上松鶴を襲名し、名題昇進を果たします。そして1990年には、六代目尾上松助を襲名。屋号は音羽屋、定紋は抱き若松、本名は井上真一です。最終学歴は青山学院高等部で、日本舞踊藤間流では藤間松樹の名で舞踊家としても活動していました。

六代目尾上松助の芸域は非常に幅広く、敵役や老け役といった渋い役から、女形までこなせる高い演技力を持ち合わせていました。その多彩な役柄は、彼の類まれな才能と、長年にわたる研鑽の賜物と言えるでしょう。また、子役時代にはテレビドラマ『赤胴鈴之助』で主役を務めるなど、テレビでも活躍の場を広げていました。歌舞伎にとどまらず、幅広い分野で活躍した彼の才能は、多くの観客を魅了しました。

1985年にはNHKドラマ『春の波涛』で中村駒之助役を演じるなど、テレビドラマにも出演していました。

彼の活躍は、多くの歌舞伎ファンに深い印象を残しました。しかし、2005年12月26日、59歳の若さで原発不明がんのため永眠しました。享年59歳。歌舞伎界に大きな損失をもたらした彼の死は、多くの人々に惜しまれ、現在でも彼の演技を懐かしむ声が数多く聞かれます。

六代目尾上松助は、歌舞伎役者としての高い演技力だけでなく、その人間性も広く知られていました。家族思いの優しい人柄、そして後進を育成する指導者としての面も持ち合わせていたと伝えられています。彼の生き様は、後世の歌舞伎役者たちに大きな影響を与え続けるでしょう。彼の功績は、歌舞伎の歴史に永遠に刻み込まれることでしょう。

もう一度検索