尾上梅幸 (7代目)

七代目尾上梅幸

概要

七代目尾上梅幸（おのえ ばいこう、1915年8月31日 - 1995年3月24日）は、歌舞伎役者として知られ、屋号は音羽屋を名乗りました。彼は日本芸術院会員であり、重要無形文化財保持者（人間国宝）としても認められています。彼の本名は寺嶋誠三で、歌舞伎界に多大なる影響を与えた存在です。

来歴と家族背景

梅幸は、赤坂の芸者である寺田きんの三男として生まれました。父は九州博多出身の実業家で、梅幸は誕生前から養子として六代目尾上菊五郎のもとに育てられました。彼の養父は、1946年以降に愛人との間に子供をもうけましたが、梅幸は実子同様に育てられました。このため、養子であることを知ったのは15歳を過ぎてからでした。

彼には多くの親戚がいます。二代目尾上九朗右衛門と二代目大川橋蔵は血縁ではありませんが、梅幸の義弟です。十七代目中村勘三郎と六代目清元延寿太夫も義兄弟であり、尾上梅幸の長男は七代目尾上菊五郎として知られる歌舞伎役者です。梅幸の孫には女優の寺島しのぶや五代目尾上菊之助がいます。

芸術とキャリア

梅幸は、幼少期から六代目の指導を受け、1921年に四代目尾上丑之助の名で初舞台を踏みました。彼は、1935年に三代目尾上菊之助を名乗り、1948年には六代目梅幸を襲名しました。襲名披露興行では『仮名手本忠臣蔵』の大星力弥を演じ、文部大臣賞を受賞しました。1966年には日本芸術院賞を獲得し、1968年には重要無形文化財保持者に認定されました。1987年には勲三等瑞宝章を受章し、1994年には文化功労者に選ばれました。

芸風

梅幸は、昭和を代表する女形の一人として知られ、六代目中村歌右衛門とともに名が挙がります。彼の特徴は、すっきりとした演技で世話物において際立った存在感を持つことでした。また、父から受けた薫陶のおかげで、若衆役も得意としており、特に貴公子として気品のある演技を見せました。立役の中では『忠臣蔵』の判官などが代表作とされています。

当たり役

梅幸は数多くの当たり役を持っています。代表的な作品としては、

• - 丸本物 では「お軽」「塩冶判官」「お石」「静御前」「平維盛」「桜丸」など。
• - 世話物 では「弁天小僧菊之助」「白井権八」「扇屋夕霧」など。
• - 舞踊 では「白拍子花子」「藤の精」など。

テレビ出演と著書

梅幸は、テレビドラマにも出演しており、1964年のNHK大河ドラマ『赤穂浪士』では浅野内匠頭を演じました。また、著書として『梅と菊』や『拍手は幕が下りてから』などがあります。

最後に

1995年に79歳で逝去した梅幸は、歌舞伎界に多大な影響を与えた名優として、多くの人々に記憶されています。彼の芸術的な業績は、現在も色あせることなく高く評価されています。

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