尾上正男

尾上 正男（おのえ まさお）

尾上正男は、1905年1月4日に鹿児島県鹿児島市に生まれ、1999年5月16日にこの世を去りました。彼は著名な国際政治学者であり法学者、さらにソ連の研究者として知られています。特に神戸大学の名誉教授としてその業績が称えられています。

経歴

彼は1929年に京都帝国大学法学部を卒業した後、満州のハルピン学院や建国大学で教授職に就きましたが、終戦直前には現地召集を受け、戦後は5年間にわたりシベリアに抑留されるという過酷な体験をしました。1951年からは神戸大学法学部で教授を務め、1968年には定年退官した後も名誉教授としてその影響を与え続けました。

更に、同年から神戸学院大学法学部で教授として活動し、1974年から1980年の間は学長を務めました。1989年には退職し、その後も日本の国際政治学界に大きな影響を及ぼしました。

1961年に「ソビエト外交史」の研究により京都大学から法学博士の学位を取得し、1975年には勲三等旭日中綬章を受賞しています。

著書

尾上正男は多くの著書を残しており、その中には歴史的な視点からの国際関係に関する重要な研究が含まれています。

• - 『満州国基本法大綱』 (郁文社, 1940)
• - 『ソヴィエトの外交政策 その理論と発展』 (創元社, 1952)
• - 『ソ連の世界政策』 (創元新書, 1953)
• - 『ソビエト外交史』 (有信堂, 1959)
• - 『独ソ不可侵条約論』 (有信堂, 1962)
• - 『共産主義理論と平和共存政策』 (民主主義研究会, 1963)
• - 『国際関係論』 (有信堂, 1970)
• - 『ソビエト外交史 第3 スターリンの臨戦外交政策』 (有信堂, 1970)
• - 『共産主義の虚像と実像』 (永田書房, 1971)
• - 『現代ソ連外交論覚書』 (晃洋書房, 1976)
• - 『ソ連外交年表 上』 (晃洋書房, 1981.5)

また、彼は共編著や翻訳書も手掛けており、多様な視点から国際問題を考察しています。

記念論集

彼の業績を称えるために、複数の記念論集も出版されています。中には「現代外交の理論と歴史」と題した尾上正男および武内辰治先生の還暦記念論文集があり、関西外交史研究会が編纂したものです。

影響と評価

尾上正男の研究は、国際関係や外交政策の理解において重要な基盤を築くものであり、彼の執筆活動によって多くの学問的知見が社会に広まることとなりました。彼の著作は今なお読み継がれ、政治学や国際政治学を学ぶ者にとっての重要な資料として位置付けられています。

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