尾上菊之丞

尾上 菊之丞

尾上 菊之丞（おのえ きくのじょう）は、日本の伝統舞踊、尾上流の重要な名跡であり、長い歴史をもちます。この名跡は、初代から三代目まで、さまざまな舞踊家が受け継いできました。それぞれが個性あふれる活動を展開しており、尾上流の発展に大きく寄与しています。

初代 尾上 菊之丞

初代の尾上 菊之丞は1909年1月31日に東京で生まれ、本名は羽鳥友吉です。彼は尾上流を創流し、初代の家元となりました。尾上流は歌舞伎の尾上宗家、すなわち六代目尾上菊五郎の門下生として活動を始め、1919年に尾上琴次郎の名で歌舞伎役者デビューを果たします。彼は1921年に舞踊に転向し、藤間流の宗家、藤間勘十郎に師事しました。1930年に名取となり、1948年には尾上流の二代目家元として地位を継承しました。彼はさまざまな踊りを披露し、1954年には渡米公演、1964年にはハワイでの公演の最中に亡くなりました。振付作品には「二人椀久」や「石橋」、「紀州道成寺」などがあります。

二代目 尾上 菊之丞

二代目の尾上 菊之丞は1943年4月6日生まれで、本名は羽鳥紀雄です。初代の甥であり、9歳で初代に師事しました。1964年に六世藤間勘十郎に師事し、三代目尾上流家元を承継しました。1966年には青山学院大学経済学部を卒業し、以降もさまざまな舞踊振付に携わりました。大阪花の万博（1990年）やスペイン・セビリア国際万博（1992年）で振付を担当し、特に1992年の万博には自身も出演しています。1997年にはパリでの歌舞伎公演に振付師として同行しました。2005年には愛・地球博の日本館イベントをプロデュースし、2011年に自らは初代尾上墨雪を名乗ることに。彼は2018年に旭日小綬章を受章し、女優の尾上紫は彼の娘です。

三代目 尾上 菊之丞

三代目の尾上 菊之丞は1976年3月29日に東京で生まれました。二代目の長男として育ち、姉は舞踊家で女優の尾上紫です。彼は幼少期から二代目に師事し、1981年には「松の緑」で初舞台を踏みました。1990年に尾上青楓の名を使い始め、本格的な活動を展開し、2011年には三代目菊之丞を襲名しました。彼は四世家元を継承し、特に菊五郎劇団との関係が深いです。新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」や、スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」、さらにはフィギュアスケートとのコラボレーション企画「氷艶」の振付を手掛けています。また、宝塚歌劇団やOSK、花街での舞踊の振付・演出も行っています。2020年からは八世藤間勘十郎と共にオンラインサロンを運営し、舞踊の発展に寄与する活動を続けています。

尾上菊之丞家系は、長い歴史を持ちながら、日本の伝統舞踊を広める役割を果たしてきました。各代の舞踊家たちが築いてきた伝承は、現代においても多くの人々に影響を与え続けています。

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