尾佐竹猛

尾佐竹 猛（おさたけ たけき）

尾佐竹猛は、1880年1月20日に石川県金沢に生まれた日本の法学者です。彼の専門分野は法制史であり、明治文化に関する研究にも従事しました。学位は法学博士であり、大審院の判事としても活動していました。号は「雨花子」として親しまれています。

人物背景

尾佐竹は加賀藩の儒者の息子として育ち、1899年には明治法律学校を卒業しました。司法官試補として第1回判事検事登用試験に合格し、福井地方裁判所や東京控訴院と名古屋控訴院で判事を務めました。1924年から1942年にかけては大審院判事を務め、法の実務にも多くの貢献をしました。

彼は法制史の研究に情熱を注ぎ、特に憲政史や刑罰史について実証主義を重んじたアプローチで研究を進めました。資料を重視し、洒脱な視点から文章を構築する彼のスタイルは、多くの読者に受け入れられました。

研究と著作

尾佐竹は1924年に吉野作造や宮武外骨と共に明治文化研究会を設立し、同会は『明治文化全集』の編纂を行います。1918年以降、執筆活動を活発化させ、1920年には新聞の先駆者である柳川春三についての論文を発表しました。その後も彼の著作は多岐にわたり、特に1925年の『維新前後に於ける立憲思想』は法学博士号取得の契機となりました。

1930年に出版された『日本憲政史』では、幕末から帝国議会開設に至るまでの立憲政治の発展過程を詳述し、1936年からは『法律及政治』で「帝国議会史前史」を連載するなど、現在も参考にされる独自の視点を提供しました。この連載は1939年に書籍としてまとめられました。

教職と私生活

九州帝国大学法学部で講師や、明治大学法学部で教授及び専門部文科長も務めた尾佐竹は、教育界でも大きな影響力を持っていました。彼の家族には、父の尾佐竹保が加賀藩の儒者、妹のみのりが横山一平の妻として知られ、弟の尾佐竹堅も台湾の総督府に勤務するなど、著名な経歴を持っていました。

1946年に彼は肺炎で亡くなりますが、研究者としての信念を貫き通し、戦災にもかかわらず学問を追求した姿勢は後が評価されています。墓所は金沢市の蓮覚寺にあり、学問の道を歩んだ彼の功績は今日に至るまで語り継がれています。

評価

尾佐竹の研究は、日本の法制史や憲政史に対して重要な視点を提供しましたが、彼の著作には批判も存在します。特に、明治文化研究会に対する専門的な批評があったことから、彼の見解やデータの扱い方には議論の余地があります。それでも、彼の多くの著作や研究は、日本の近代史における貴重な資料として位置付けられています。

参考文献

• - 尾佐竹猛の著作集や全集は、彼の考えや研究を知るための貴重な資料です。
• - 明治大学史資料センターの編纂資料や国史大辞典も、彼の業績を理解する手助けとなるでしょう。

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