尾崎和彦

尾崎和彦：宗教哲学と北欧文化研究の泰斗

尾崎和彦氏は、1936年2月14日に岡山県で生まれ、日本の哲学界において、特に宗教哲学と北欧文化研究の分野で重要な足跡を残した哲学者です。明治大学名誉教授として、長年にわたり研究と教育に尽力されました。

学術への道

尾崎氏は、1967年に京都大学大学院文学研究科博士課程を単位取得退学後、岡山商科大学で教鞭を執り、助教授へと昇進。1970年から1971年にかけては、コペンハーゲン大学、ミュンヘン大学、テュービンゲン大学へ留学し、見識を深めました。1975年、明治大学政経学部の助教授に就任。1977年からは教授として教壇に立ち、1989年にはコペンハーゲン大学とウプサラ大学で客員研究員を務めました。1994年には、長年の研究の集大成として『北欧神話・宇宙論の基礎構造 - 『巫女の予言』の秘文を解く』を京都大学に提出し、文学博士号を取得。2007年に明治大学を定年退任し、名誉教授の称号を受けました。

研究分野

尾崎氏の専門は、宗教哲学と北欧文化研究です。特に、北欧神話や思想、スウェーデンの宗教哲学、そして現代的なテーマであるディープ・エコロジーや医療倫理にも造詣が深く、幅広い分野で研究成果を発表しています。

主要な著作

尾崎氏は、数多くの著作を通じて、その思想と研究成果を社会に還元してきました。

『北欧思想の水脈 - 単独者・福祉・信仰‐知論争』（世界書院、1994年）
『北欧神話・宇宙論の基礎構造 - 「巫女の予言」の秘文を解く』（白凰社、1994年）
『スウェーデン・ウプサラ学派の宗教哲学 - 絶対観念論から価値ニヒリスムへ』（東海大学出版会、2002年）
『生と死・極限の医療倫理学 - 北欧・スウェーデンにおける「安楽死」問題を中心に』（創言社、2002年）
『ディープ・エコロジーの原郷 - ノルウェーの環境思想』（東海大学出版会、2006年）
『北欧学 - 構想と主題』（北樹出版、2018年）

これらの著作は、北欧の思想や文化に対する深い洞察と、現代社会の倫理的な課題に対する真摯な考察を示しています。

翻訳・共著・論文

尾崎氏は、単著以外にも、翻訳や共著、論文を通じて、研究活動を展開しています。キェルケゴールの著作の翻訳や、金子光男氏との共著『環境の思想と倫理』など、多岐にわたる分野で貢献しています。また、多数の学術論文を発表し、学会における議論を深めてきました。

尾崎和彦氏の功績

尾崎和彦氏は、宗教哲学と北欧文化研究の分野において、日本の学術界に多大な貢献をしました。その研究は、北欧の思想や文化に対する理解を深めるだけでなく、現代社会が抱える倫理的な問題に対する新たな視点を提供しています。尾崎氏の学術的な業績は、今後も多くの研究者や学生に影響を与え続けることでしょう。

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