尾崎左永子

尾崎左永子について

尾崎左永子（おざき さえこ）は、1927年11月5日に東京府豊島区巣鴨に生まれた日本の歌人、随筆家、放送作家です。本名は尾崎磋瑛子で、歌誌「星座」の主筆を務め、エッセイスト・クラブの常務理事としても活躍しています。彼女の夫は慶應義塾大学経済学部名誉教授の尾崎巌で、現在は神奈川県鎌倉市に在住しています。

幼少期と教育背景

尾崎は宮内省に勤務していた父・酒巻芳男と母・壽の四女として誕生しました。母方の祖父は明治天皇の侍医であったことが、彼女の文化的背景に影響を与えたと言われています。教育は早熟で、東京女学館中等科では一学年飛び級し、その後東京女子大学国語科に進学しました。大学では松村緑や西尾実の指導を受け、また関鑑子から声楽を学ぶなど、多才な才覚を発揮しました。戦後は大学の演劇部にも所属し、著名な演劇人たちからも指導を受けました。この頃から彼女は歌誌「歩道」に参加し、佐藤佐太郎から短歌の指導を受け、以後「酒巻さゑ子」として作品を発表しました。

作家としての活動

1950年には大学の演劇仲間と結婚し松田姓に改姓しましたが、6年後に離婚します。その後、NHKの台本作家としてのキャリアをスタートし、西山真一や山田茂人から油絵を学びつつ、文芸活動に専念します。1955年には「夕雲」で第1回角川短歌賞にノミネートされ、1957年には『さるびあ街』を発表し、歌人としての地位を築きました。

1958年からは脚本家としても活動し、1960年からはNHKでドキュメント番組の構成に携わりました。そして、1961年には尾崎巖と再婚し、彼女の生活はさらに充実したものとなります。

放送作家としての成功

彼女は1965年から1983年までの約20年間、短歌から離れ放送作家としての道を歩んでいきます。この時期、彼女はラジオ関東や他の放送局での台本執筆に力を注ぎます。同時に、古典文学の研究に没頭し、松尾聰に学びながら、香道にも挑戦し、尾崎暁紅の名で香道の奥伝も受けています。

再び歌壇へ

1983年に「歩道」に復帰し、同時に「運河」の創刊にも関与することで歌壇に戻ります。1985年には『源氏の恋文』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞し、1986年からは早稲田大学大学院で文学を学びます。さらに、1989年に尾崎左永子の名で再刊した『さるびあ街』は、古典文学や王朝和歌に関するエッセイを多く発表する契機となります。

現在に至るまで

1999年には「夕霧峠」で迢空賞を受賞するなど、その活動は益々広がりを見せます。2001年に「星座」を創刊し、2010年には「星座α」を立ち上げ、短歌の普及と発展に寄与しています。また、2015年には『佐太郎秀歌私見』で日本歌人クラブ大賞を受賞するなど、彼女の功績は多方面にわたります。

尾崎左永子は、古典文学の探求と新たな視点から日本の伝統文化を現代に伝える重要な存在として、多くの読者から支持されている作家です。

もう一度検索