尾崎行雄 (野球)

尾崎行雄：剛球一筋、不屈のエース

尾崎行雄（おざき ゆきお）は、1944年9月11日、大阪府泉大津市に生まれ、2013年6月13日に68歳で没したプロ野球選手（投手）である。浪商高校（現・大阪体育大学浪商高）のエースとして甲子園を沸かせ、東映フライヤーズ（現・北海道日本ハムファイターズ）で剛速球投手として活躍した。

生い立ちと甲子園での輝き

尾崎は、同姓の政治家・尾崎行雄にあやかって命名された。幼少期は左利きだったが、父親の意向で右投げに転向。この転向が、後に彼の代名詞となる剛速球を生み出す一因になったとも言われている。浪商高校2年生の時、1961年の夏の甲子園で優勝投手となり、「怪童」と称された。特に、法政大学第二高等学校のエース・柴田勲との対決は、甲子園史に残る名勝負として語り継がれている。

1960年には1年生ながら甲子園に出場し、柴田勲との最初の対決は完封負け。しかし、翌1961年の夏の甲子園では準決勝で雪辱を果たし、決勝では桐蔭高校を破り優勝。この時のチームメイトには、高田繁らがいた。

プロ入り、そして新人王へ

甲子園での活躍後、尾崎には複数のプロ球団から勧誘が殺到。最終的に、東映フライヤーズに入団。監督・水原茂の存在や、浪商の先輩である山本八郎・張本勲の存在が決め手となった。また、尾崎自身が日本シリーズで柴田との対決を熱望していたことも理由の一つであった。

プロ1年目の1962年、開幕2戦目で初登板を飾り、わずか15球で初勝利。その後も勝ち星を重ね、オールスターゲームにも出場。最終的に20勝9敗、防御率2.42の成績で東映のリーグ初優勝に貢献し、新人王に輝いた。18歳での新人王獲得は、現在に至るまで史上最年少記録である。

苦難と復活、そして引退

1965年にはナックルボールを習得し、27勝で最多勝を獲得。防御率1.88、259奪三振と圧倒的な成績を残し、ベストナインにも選出された。しかし、1967年頃から肩に違和感を覚え、徐々に球速が低下。様々な治療を試みたものの、肩の状態は回復しなかった。

1972年には5年ぶりの勝利を挙げるなど復活の兆しを見せたが、翌1973年に肝臓を患い、29歳の若さで現役を引退。プロ通算107勝を挙げ、夏の甲子園優勝投手としては戦後初のプロ通算100勝投手となった。

引退後

引退後は、和風ステーキハウスを経営する傍ら、フジテレビの番組に出演するなどタレント活動も行った。その後はスポーツ関係の会社に勤務し、少年野球の指導に尽力。2001年にはマスターズリーグに参加した。

2013年6月13日、肺がんのため死去。68歳という若さでの死は、多くの野球ファンに惜しまれた。没後一周忌には、追悼企画展が開催された。

プレースタイル

尾崎は、スリークオーター気味のフォームから投げ込む剛速球を武器に、数々の記録を打ち立てた。球速は156キロを計測したとも言われ、プロ野球史上における速球投手の話題では、必ず名前が挙がる存在である。制球力は課題もあったが、打者の狙いを絞らせない投球術も持ち合わせていた。

タイトル・表彰・記録

最多勝利：1回 （1965年）
最多奪三振：2回 （1964年、1965年）
新人王 （1962年）
ベストナイン：1回 （1965年）
100勝：1967年5月3日
1000奪三振：1972年 9月23日
8連続奪三振（1962年4月29日）
オールスターゲーム出場：3回 （1962年、1964年、1965年）

尾崎行雄は、その短い現役生活の中で、強烈な印象を野球ファンに与えた。彼の剛速球と不屈の精神は、これからも語り継がれていくだろう。

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