尾道ラーメン

尾道ラーメン

尾道ラーメンは、広島県尾道市を中心とした備後地方で愛されるご当地ラーメンです。醤油ベースのスープに豚の背脂、そして平打ち麺が特徴として知られています。

歴史

尾道ラーメンの起源には、複数の説があります。

起源説1: 1928年（昭和3年）に中国福建省出身の「張」という人物が尾道市に移り住み、露店でラーメンを売り歩いたのが始まりという説
起源説2: 1947年に台湾出身の朱阿俊が屋台で提供した中華そばが始まりという説

朱阿俊は後に店を構え「朱華園」という名前で営業しました。醤油味ベースのスープに平打ち麺、豚の背脂ミンチをトッピングしたラーメンは「中華そば」として親しまれましたが、2019年6月に閉店。その味は、本店で修行した店主によって福山市神辺町の「しんたく」に引き継がれています。

1990年代には、福山市鞆の浦の珍味メーカー「阿藻珍味」が「お土産用尾道ラーメン」を販売しました。鶏ガラスープに平子いわし（煮干しイワシ）を使ったスープが特徴で、以後、この系統のラーメンを出す店が増え、一般的に「尾道ラーメン」といえば、このタイプを指すことが多くなりました。

岩岡洋志は、阿藻珍味が福山市のメーカーであることから、「尾道・福山ラーメン」と呼ぶのが適切かもしれないと述べています。

このように、尾道ラーメンには「朱華園」をルーツとするものと、「阿藻珍味」をルーツとするもの、大きく分けて二つの系統が存在すると言えるでしょう。

興味深いことに、「朱華園」二代目の壇上俊博は、父親である朱阿俊からラーメン作りを教わったことは一度もないと語っています。2019年6月まで「朱華園」で提供されていた中華そばは、壇上自身が父親の味を研究、再現、そして改良したものでした。

2020年11月には、「朱華園」経営者の親族による経営で、中華そば「朱」が尾道市に新たに開店しました。

特徴

尾道ラーメンの最大の特徴は、豚の背脂を浮かべた醤油ベースのスープと平打ち麺の組み合わせです。

しかし、各店舗によって個性があり、豚骨と海産物ベースのスープにストレート細麺を使用する店や、豚骨、鶏ガラ、野菜、昆布などからスープを取る店も存在します。また、古くから市内に存在する店では、「中華そば」という名称で豚の背脂を使用しないラーメンを提供しているところもあります。

さらに、天ぷら（かき揚げ）をトッピングした「天ぷら中華」を提供する店もあり、尾道ラーメンの多様性を示しています。

商品化

尾道ラーメンは、その人気から様々なカップ麺としても商品化されています。

麺ニッポン 尾道ラーメン（日清[[食品]]）：多めの豚の背脂と瀬戸内産いりこ粉末を使用した醤油ベースのスープが特徴です。
マルちゃん でかまる 尾道ラーメン 背脂醤油（東洋水産）：やや太めの麺と、チキンベースに魚介の風味を加えた醤油味スープが特徴。オイルに背脂を使用しています。
* タテ型 飲み干す一杯 尾道 背脂醤油ラーメン（エースコック）：香味野菜の旨味と瀬戸内産いりこ風味を特徴とした醤油スープです。

尾道ラーメンは、その地域独特の製法と味が評価され、長年にわたり多くの人々に愛され続けています。現地を訪れて味わうのはもちろん、お土産やカップ麺を通じて、その味を気軽に楽しむことができます。

もう一度検索