尾鷲三田火力発電所

尾鷲三田火力発電所

尾鷲三田火力発電所は、かつて三重県尾鷲市に存在した中部電力の石油火力発電所です。発電所名は、建設を指揮した三田民雄氏（三田敏雄氏の父）に由来します。1964年に1、2号機が運転を開始し、1987年には3号機が増設されました。高度経済成長期の旺盛な電力需要に応え、特に夏季の電力需要ピーク時に重要な役割を果たしました。

歴史

この発電所は、松永安左エ門氏の大型火力発電所構想に呼応して、中部電力の副社長であった三田民雄氏の指揮の下で建設されました。1964年に1、2号機が運転を開始し、高度経済成長期の電力需要を支えました。1987年には3号機が増設され、発電能力を強化しました。しかし、石油火力発電所であるため、原油価格の変動に大きく影響を受け、また老朽化による発電効率の低下が課題となりました。2004年には2号機が廃止され、2008年には1号機が長期計画停止となりました。3号機も稼働率が低下し、東日本大震災による電力危機時には一時的に稼働しましたが、その後はほとんど稼働していませんでした。

2018年1月、発電所の廃止に向けて地元との協議が開始され、同年2月には中部電力から正式に廃止の申し入れが行われました。そして、2018年4月1日に3号機が休止、同年12月19日に1号機と3号機が正式に廃止されました。

廃止後の計画

現在、発電所の跡地には、地元の間伐材を燃料とするバイオマス発電所を建設する構想があります。また、排熱を魚類養殖に利用する計画も検討されています。ただし、バイオマス発電所の発電規模は1万kWと、火力発電所（87.5万kW）の代替にはなりません。バイオマス発電所の運営は、中部電力またはJERAが想定されています。

さらに、敷地の一部（1.6ha）は、尾鷲市を含む東紀州4市町の広域ごみ処理場に転用される予定です。この計画は中部電力からの提案であり、建設候補地が見つからなかった尾鷲市にとって大きな進展となりました。広域ごみ処理場の稼働は2023年度を目標としています。

発電設備の詳細

総出力：125万kW
敷地面積：約342,000m2

1号機（廃止）
定格出力：37.5万kW
使用燃料：重油
営業運転期間：1964年7月 - 2018年12月19日（2008年4月1日から長期計画停止）

2号機（廃止）
定格出力：37.5万kW
使用燃料：重油
営業運転期間：1964年 - 2004年12月31日

3号機（廃止）
定格出力：50万kW
使用燃料：原油、重油
営業運転期間：1987年6月 - 2018年12月19日（2018年4月1日から長期計画停止）

煙突

尾鷲三田火力発電所の高さ230mの煙突は、尾鷲市のランドマークとして親しまれていました。しかし、2020年12月5日に大型クレーンによる撤去工事が完了し、現在ではその姿を見ることはできません。残りの設備や構造物（煙突の一部、タンク、タービン建屋、コンクリート基礎など）は、2021年6月25日までに撤去されました。

現在の状況

発電所は廃止され、跡地では解体作業が進められています。発電所の役割は終わりましたが、地域の歴史の一部として、その名前は記憶されることでしょう。

出典

中部電力

関連項目

中部電力
日本の[[火力発電所一覧]]
火力発電
汽力発電

外部リンク

* 中部電力

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