局所麻酔薬

局所麻酔薬の概要

局所麻酔薬（きょくしょますいやく）は、特定の部位の痛みを取り除くために使用される医薬品です。主に手術の際に用いられ、全身麻酔とは異なり、患者が意識を保ちながら痛みを感じない状態を作り出します。日本では古くから「ロカール」という名称で呼ばれ、その発音はドイツ語に由来しています。

作用機序

局所麻酔薬は、神経細胞膜の電位依存性ナトリウムチャネルに結合し、ナトリウムの流入を阻害します。このナトリウムの流入が妨げられることにより、神経の活動電位が発生せず、痛みの信号がブロックされます。局所麻酔薬は、アミド型とエステル型の2種類に大別されます。同薬剤は脂溶性および水溶性の部分を持ち、これによって神経細胞膜を透過する能力が決まります。

使用方法

局所麻酔薬は様々な方法で投与されます。以下のような形態が一般的です：

• - 表面麻酔クリームやスプレー
• - 浸潤麻酔
• - 神経ブロック
• - 硬膜外麻酔
• - 脊髄くも膜下麻酔

これらの投与方法によって、特定の神経経路をターゲットにし、運動麻痺を引き起こすことも可能です。

薬理と化学構造

局所麻酔薬の基本的な構造は、脂溶性の芳香基と親水性のアミノ基という2つの部分から成ります。これらが中間の鎖を持つことで、薬剤の効果が分かれます。アミド型とエステル型の薬剤には、それぞれ異なる代謝経路があります。エステル型は速やかに代謝され、アミド型は主に肝臓で分解されるため、作用持続時間が長いのが特徴です。

効き方の違い

神経線維の大きさや有髄性によって、局所麻酔薬の効果は異なります。細い神経ほど早く麻酔され、一般には血管運動神経、痛覚、触覚、圧覚の順に効果が現れます。麻酔効果を確認するためには、冷たさを感じるかどうか（コールドサインテスト）を用います。

副作用

局所麻酔薬の過量投与は、全身毒性を引き起こす可能性があります。これには、耳鳴りやめまい、場合によっては呼吸停止や致命的な不整脈も含まれます。特にブピバカインは心筋に悪影響を及ぼすことがあり、注意が必要です。

現状と供給の問題

最近、日本ではロピバカインの供給が制限される兆候が現れています。これにより、手術や鎮痛に対する影響が懸念されています。代替手段を模索する動きもあり、医療現場では局所麻酔薬の不足が問題視されています。

局所麻酔薬は、多岐にわたる用途や特性を持ちながら、不適切な投与時には重篤な結果を引き起こす可能性もあるため、使用には十分な注意が必要です。

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