ブピバカイン

ブピバカイン（Bupivacaine）

ブピバカインは、アミド型に分類される長時間作用の局所麻酔薬であり、商品名「マーカイン」で知られています。この薬剤は、高い感覚遮断効果を持ちながらも、運動機能を比較的保持する特性を持っており、計4倍の強さを誇るリドカインと比較して非常に高い力価を示します。ブピバカインの主な用途には、浸潤麻酔や神経ブロック、硬膜外麻酔、さらには脊髄くも膜下麻酔などがあり、その適応範囲は広いです。

使用方法と効果の持続時間

ブピバカインは、麻酔を必要とする部位の神経周囲や脊柱管の硬膜外腔に注射されることで作用を発揮します。エピネフリンと併用することで、その作用時間を延長させることができます。一般に、注入してから15分以内に効果が現れ、2～8時間程度持続します。臨床現場では、硬膜外麻酔における無痛分娩や、術後の疼痛管理に非常に一般的に使用されてきました。

副作用と禁忌

ただし、ブピバカインには注意が必要であり、使用に伴う副作用としては、眠気、筋痙攣、耳鳴り、視覚障害、低血圧、不整脈などが報告されています。特に高濃度の製剤（0.75%）は産科麻酔における使用が禁忌とされています。また、過敏反応のある患者や、心停止のリスクがあるケースでは使用を避けるべきです。

麻酔の適応と禁忌

ブピバカインは、局所浸潤、末梢神経ブロック、交感神経ブロック、硬膜外麻酔、仙骨麻酔に使用されますが、日本では、硬膜外麻酔、伝達麻酔、脊髄くも膜下麻酔が承認されています。投与の際は、体重1kgあたり最大2mgを超えないようにする必要があります。特に、硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔に強い禁忌がありますので、患者の状態を十分に考慮することが求められます。

薬理学的特徴

ブピバカインは、電位依存性ナトリウムチャネルに影響を与え、痛みの信号の伝達を遮断します。薬物動態学的には、投与部位や血管の状態に大きく左右されます。また、成分の結合率が高いため、安定性に優れる特徴も持っています。

妊産婦および授乳婦への使用

妊娠中の使用に関しては、胎盤を通過し、胎児に影響を与える可能性があるため、慎重な利用が推奨されます。しかし、産科麻酔としての利用は承認されています。さらに、授乳期においても母乳中に排泄されるため、医療者と患者でリスクをよく話し合うべきです。

最新の適応と研究

最近の研究では、ブピバカインのリポソーム製剤（商品名EXPAREL）が注目されており、通常のブピバカインよりも鎮痛効果が高いことが確認されています。このように、ブピバカインは常に医療現場で進化し続ける重要な局所麻酔薬の一つといえるでしょう。

このように、ブピバカインは非常に汎用性が高く、さまざまな麻酔法で利用される一方で、使用に際しては注意が必要な薬剤であることを理解することが重要です。

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