居切駅

居切駅（いぎりえき）

概要

居切駅は、かつて茨城県鹿島郡神栖町、現在の神栖市の地域に所在していた、鹿島臨海鉄道鹿島臨港線に属する鉄道駅でした。この駅は、開業から非常に短い期間のうちに廃止された、いわゆる「廃駅」の一つとして知られています。特に、貨物駅として開業しながら一度も貨物の取扱実績がなく、また旅客営業を開始したものの、その営業期間がわずか数ヶ月という極めて短命な駅であった点が、その歴史における大きな特徴となっています。

歴史

居切駅は、1970年（昭和45年）7月21日に、まず貨物のみを取り扱う駅として開設されました。当時、鹿島臨港線は鹿島臨海工業地帯の造成・発展に伴う物流需要に対応するため、貨物輸送を主目的として整備が進められていました。居切駅の設置も、こうした地域の開発や産業活動を支える貨物輸送網の一翼を担うことを期待されてのものであったと推測されます。

しかしながら、居切駅は貨物駅として開業したにもかかわらず、実際に貨物の積み降ろしや発着が行われた記録は、その営業期間を通じて一度もありませんでした。つまり、貨物駅としての設備は設けられたものの、実質的には一度も機能することなく時が過ぎていったのです。

貨物駅としての開業から約8年が経過した1978年（昭和53年）に、居切駅は新たな展開を迎えます。この年の7月25日、居切駅において旅客営業が開始され、貨物列車だけでなく、一般の乗客が利用する列車も停車するようになりました。これにより、地域住民や関係者の移動手段として、新たな役割を果たすことが期待されたかもしれません。

しかし、この旅客駅としての期間は、驚くほど短いものに終わりました。旅客営業開始からわずか約3ヶ月後の同年11月1日には、居切駅は廃止されることが決定され、駅としての機能はその幕を閉じたのです。貨物駅として実績がなく、旅客駅としても極めて短期間で廃止された居切駅は、合計しても約8年3ヶ月という比較的短い期間しか存続しませんでした。特に旅客駅としての存在期間がごくわずかであったことから、日本の鉄道駅の歴史の中でも特異な例として挙げられることがあります。

現状

駅が廃止された現在、かつて居切駅の施設が存在した場所には、駅舎やプラットホームといった、かつて駅であったことを示す構造物は確認できません。しかし、廃止後長い年月が経過した今もなお、線路の一部として、駅跡付近に当時のものとされる分岐器が残されており、かつてここに駅があったことのわずかな名残を留めています。

隣の駅

鹿島臨海鉄道
鹿島臨港線

北鹿島駅 - 居切駅 - 神栖駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧
* 廃駅

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