屈折ピラミッド

屈折ピラミッドについて

エジプトのダハシュールに位置する屈折ピラミッドは、古王国時代の第4王朝におけるファラオ、スネフェル王によって建設された重要な遺跡です。このピラミッドは、エジプトの三大ピラミッドと共に、メンフィスの墓地遺跡の1つとして世界遺産に登録されています。

特徴と構造

屈折ピラミッドの最も顕著な特徴は、その独特な形状です。このピラミッドは高さ105メートル、底辺の一辺が189メートルという規模を持ちながら、傾斜が途中で変わっています。下部の傾斜は54度27分、上部は43度22分に設定されています。このような屈折が生じた理由には、建設当初の工法に関係があります。下部は崩落を防ぐために、石材が内側へと傾斜して積まれており、上部は平積みという形で構築されているのです。

この工法の転換は、同時期に建設されていた崩れピラミッドが完成後に崩落したことを受けてのものであり、屈折ピラミッドも同様の運命を辿る可能性があったため、設計の変更が行われました。実際に建設中に崩壊の兆候が見られたことも、工法を変更した背景にあたります。

一般的にエジプトのピラミッドは化粧石で覆われ、視覚的な美しさが求められていましたが、屈折ピラミッドは驚くことに、その表面にまだ多くの化粧石が残っています。このことは、他のピラミッドとは異なる魅力を持っています。

内部公開の歴史

屈折ピラミッドは、1965年には一般観光客に内部が閉じられ、その後数十年間にわたり訪れることができませんでした。しかし、2019年には新たな修復プロジェクトが完了し、2つの埋葬室へとつながる長さ79メートルの通路の修復が実施されました。これにより、屈折ピラミッドが再び観光客に公開されることとなりました。この動きは、訪れる人々が古代エジプトの歴史に触れる貴重な機会を提供するものとなっています。

屈折ピラミッドは、その独自の構造と歴史的意味合いから、今後も研究と観光の対象として重要な役割を果たすことでしょう。

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