屋主忍男武雄心命

屋主忍男武雄心命（やぬしおしおたけおごころのみこと）について

屋主忍男武雄心命は、古代日本の歴史書に登場する人物で、生没年は不明です。主に『日本書紀』に記述が見られ、第8代孝元天皇の皇孫であり、武内宿禰の父として知られています。

様々な表記

『日本書紀』では、屋主忍男武雄心命の他に、屋主忍男武猪心命、武猪心命などと表記されています。『新撰姓氏録』では建猪心命、屋主忍雄武猪心命、『紀氏家牒』逸文では屋主忍武雄心命、屋主忍雄命、武男心命といった異なった表記も見られます。また、『古事記』には孝元天皇の皇子「少名日子建猪心命」が該当すると考えられていますが、子孫に関する記述はありません。

系譜

『日本書紀』によると、屋主忍男武雄心命は孝元天皇の皇子である彦太忍信命の子とされています。しかし、『古事記』では、彦太忍信命の子が武内宿禰であるとしており、少名日子建猪心命は系譜から外れています。

また、『日本書紀』によれば、屋主忍男武雄心命は莵道彦の娘である影媛との間に武内宿禰を儲けたとされています。さらに、武内宿禰の弟として甘美内宿禰の名前も見られます。一方、『紀氏系図』では、孝元天皇の皇子に彦太忍信命、その子に屋主忍雄命、さらにその子に武内宿禰と甘美内宿禰を位置付けています。

このように、文献によって系譜の記述に差異が見られる点が特徴です。

記録

『日本書紀』には、景行天皇が紀伊に行幸しようとした際、占いの結果が良くなかったため、代わりに屋主忍男武雄心命が派遣されたという記述があります。彼は阿備柏原に9年間滞在し、その間に影媛との間に武内宿禰を授かったとされています。

また、『政事要略』所引「高橋氏文」によると、膳氏の祖である磐鹿六雁命が亡くなった際、景行天皇は藤河別命と武雄心命を宣命使として派遣したと伝えられています。

さらに、『住吉大社神代記』では、垂仁天皇の時代に、屋主忍男武雄心命が住吉大神の願いによって遣わされ、山を寄せて幣とし、阿備柏原社で祭祀を行い、9年のうちに難波道龍住山を賜ったとされています。

後裔氏族

『新撰姓氏録』には、以下の氏族が屋主忍男武雄心命の後裔として記載されています。

右京皇別 紀朝臣 - 石川朝臣と同氏で、屋主忍雄建猪心命の後裔とされています。

屋主忍男武雄心命を祭神とする主な神社

屋主忍男武雄心命は、以下の神社で祭神として祀られています。

江野神社（新潟県上越市）
若櫻神社摂社の高屋安倍神社（奈良県桜井市）
武雄神社（佐賀県武雄市）

まとめ

屋主忍男武雄心命は、古代日本の重要な人物であり、その事績は様々な文献に記録されています。特に、武内宿禰の父としての側面がよく知られており、後世の氏族にも大きな影響を与えました。文献によって異なる表記や系譜の記述があるものの、その存在は古代史を理解する上で欠かせない要素となっています。

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