属性 (ダンジョンズ&ドラゴンズ)

ダンジョンズ&ドラゴンズの属性：キャラクターの行動指針

『ダンジョンズ&ドラゴンズ』（D&D）における属性とは、キャラクターやクリーチャー、社会の倫理観と道徳観を分類するシステムです。これはロールプレイングゲームにおいて、キャラクターの行動や世界観を理解するための重要な要素となります。

属性の歴史

D&Dの初期バージョンでは、「秩序」「中立」「混沌」の3つの属性のみが存在しました。「秩序」は社会の規則を尊重することを意味し、「混沌」はその逆です。「中立」はいずれにも偏らない立場を示します。

その後、『アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ』（AD&D）で「善」「中立」「悪」の軸が導入され、これらの組み合わせによって9種類の属性が定義されました。この9種類の属性は、D&D第3版まで使用され続けました。

第4版では属性が5種類に減らされましたが、第5版で再び9種類に戻り、現在に至っています。

この属性システムは、D&Dの創作者であるゲイリー・ガイギャックスが、マイケル・ムアコックやポール・アンダースンのファンタジー作品から着想を得たとされています。

9つの属性

9つの属性は、以下の通りです。

秩序にして善（LG）： 慈悲深く公正であり、法と秩序を重んじます。
中立にして善（NG）： 良心に従い、利他的に行動します。秩序や規則に縛られません。
混沌にして善（CG）： 個人の自由を尊重し、社会の改善のために変化を好みます。
秩序にして中立（LN）： 名誉、規律、規則を重んじ、個人的な規範に従います。
真なる中立（N）： 秩序、混沌、善、悪のいずれにも強く惹かれず、均衡を保とうとします。
混沌にして中立（CN）： 自身の関心に従い、規則や慣習を避けます。
秩序にして悪（LE）： 秩序立った制度を利用して搾取し、自己の利益のために規則を曲解します。
中立にして悪（NE）： 利己的で、他者を傷つけることを躊躇しません。
* 混沌にして悪（CE）： 利己的かつ冷酷で、規則や他者の命を軽視します。

属性の役割

属性は、キャラクターの行動指針となるものです。プレイヤーはキャラクターに属性を割り当てることで、そのキャラクターがどのように振る舞うかを決定し、ロールプレイを行います。

また、属性はゲームマスター（GM）が、キャラクターの行動が属性に反していないかを判断する基準にもなります。

属性は固定されたものではなく、キャラクターの行動によって変化することもあります。例えば、秩序にして中立のキャラクターが、常に善行を行うようになれば、秩序にして善の属性に移行する可能性があります。

属性と言語

初期のD&Dには、同じ属性を持つ者同士が、ほのめかしによって情報伝達を行うことができる「属性言語」というルールが存在しましたが、最近の版では削除されています。

属性の簡略化

D&D第4版では、属性が5種類に簡略化されました。これは、混沌にして善、秩序にして中立、混沌にして中立、秩序にして悪の属性が廃止され、1つの連続体に統合されたためです。

しかし、第5版では再び9種類の属性に戻り、より多様なキャラクターの表現が可能になりました。

属性の影響

D&Dの属性システムは、コンピュータゲームのデザインにも大きな影響を与えました。『ウルティマオンライン』や『エバークエスト』のようなMMORPGでは、互いに敵対する善と悪の種族が登場します。

また、D&Dの属性システムは、別の文脈において道徳的分類のシステムとして言及されることもあります。例えば、テレビ評論家が、テレビシリーズのキャラクターをD&Dの属性の観点から分析することがあります。

属性は、D&Dの世界をより深く理解し、ロールプレイを豊かにするための重要な要素です。キャラクターの属性を理解することで、そのキャラクターの行動や思考をより深く理解し、よりリアルなロールプレイを楽しむことができるでしょう。

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