山下惣一とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

山下惣一：農民 作家の生涯と業績

山下惣一（やましたそういち）は、1936年 5月25日に佐賀県唐津市に生まれ、2022年 7月10日に86歳で亡くなった日本の農民であり、小説家です。彼は、農業をテーマにした小説やルポルタージュを数多く執筆し、農と食の問題に独自の視点で切り込みました。彼の作品は、農村の現実と、そこから見える社会のあり方を深く考察しており、多くの読者に影響を与えました。

生い立ちと農業への道

中学校卒業後、山下惣一は家業の農業を継ぎました。30歳を過ぎてから作家としての活動を始めました。この経歴が、彼の作品にリアリティと説得力を与える背景となっています。

作家としての活動

山下惣一は、小説家としてだけでなく、農民運動家としても活躍しました。彼は、農民の立場から社会や経済の問題に積極的に発言し、多くの人々に影響を与えました。その活動は、著書にも反映されており、彼の視点を通じて、食と農のあり方を問い直すきっかけを与えてくれます。

受賞歴と晩年

2006年には、毎日国際交流賞を受賞。これは、山下氏の国際的な活動と、その作品が持つ社会的な意義が評価された結果と言えるでしょう。2021年2月に執筆活動から引退するまで、彼は精力的に作品を発表し続けました。2022年 7月10日に肺がんのため亡くなりました。

主な著書

山下惣一の作品は、小説、農業に関するルポルタージュ、エッセイなど多岐にわたります。以下に代表的な作品をいくつか紹介します。

小説

『海鳴り』（1969年、第13回農民文学賞）：山下氏の初期の作品で、農村の生活を鮮やかに描いています。
『減反神社』（1979年、第27回地上文学賞、第85回直木賞候補）：減反政策をテーマにした社会派小説です。
『ひこばえの歌』（1981年）：農村の家族の絆を描いた感動作で、NHKでドラマ化もされました。
『にぎやかな大地』（1992年）：農村の人々の生活を活き活きと描いた作品です。
『身土不二の探究』（1998年）：食と農の関係を深く掘り下げた作品です。

農業関連

『野に誌す』（1973年）：農作業を通じて得た知恵や感動を綴った作品です。
『日本の“村”再考―くたばれ近代化農政』（1975年）：近代化農政を批判した、社会派ルポルタージュです。
『いま、村は大ゆれ。』（1978年）：農村の現状を鋭く分析した作品です。
『土と日本人――農のゆくえを問う』（1986年）：日本の農業の未来を問うた作品です。
『農家の父より息子へ』（1988年）：農業を継ぐ息子へのメッセージが込められています。
『農家の主(あるじ)より消費者へ』（1990年）：消費者へのメッセージが込められています。
『タマネギ畑で涙して―タイ農村ふれあい紀行』（1990年）：国際的な視点から農業を捉えた作品です。
『農業わけ知り事典』（1995年）：農業に関する様々な知識を分かりやすく解説した作品です。
『農の時代がやってきた』（1999年）：農業の重要性を訴えた作品です。
『ザマミロ!農は永遠なりだ』（2004年）：農業への熱い思いを綴った作品です。
『農業に勝ち負けはいらない!―国民皆農のすすめ』（2007年）：国民全体で農業を支えることを訴えた作品です。
『惣一じいちゃんの知っているかい?農業のこと』（2009年）：子供たちに農業の大切さを伝える作品です。

その他の活動

山下惣一は、著述活動の他に、生活者大学校（山形県川西町）の教頭や、農民連合九州の共同代表、アジア農民交流センターの代表など、様々な役職を歴任しました。これらの活動を通じて、農村の活性化や国際的な農民交流にも貢献しました。

遺産

山下惣一の作品は、農業問題だけでなく、現代社会のあり方について深く考えるきっかけを与えてくれます。彼の遺した言葉は、今後も多くの人々に読み継がれ、影響を与え続けるでしょう。

映像化作品

『ひこばえの歌』（1982年、NHK総合「ドラマ人間模様」）
『遺産らぷそでぃ』（青年劇場、『ひこばえの歌』が原作）
『菜の花らぷそでぃ』（青年劇場、『身土不二の探究』が原作）

山下惣一

山下惣一：農民作家の生涯と業績