山下治広

山下治広：跳馬のスペシャリスト、その軌跡と功績

山下治広（やました はるひろ、1938年11月11日 - ）は、愛媛県宇和島市出身の元体操競技選手であり、日本体育大学名誉教授です。彼は跳馬のスペシャリストとして世界に名を馳せ、体操界に多大な貢献をしました。結婚後、叔母の松田家の養子となり、松田治広と改名しています。名前は旧字体の「治廣」と表記されることもあります。

略歴

愛媛県立宇和島東高等学校、日本体育大学を経て、1961年に日本体育大学を卒業後、同大学の助手として活動を開始。選手としても活躍しました。日体大の体操体育館に寝泊まりしながら猛練習に明け暮れる中で、ある学生の跳馬を見て、前転と屈伸を組み合わせた独自の跳躍法「山下跳び」を編み出しました。

1962年の世界体操競技選手権（チェコスロバキア・プラハ）では、その「山下跳び」で種目別跳馬銀メダルを獲得し、一躍注目を集めます。

1964年の東京オリンピックでは、自身の編み出した跳び方が外国勢に模倣されることを予想し、新たな技の開発に着手。青森県八戸市での合宿中、トランポリンに着目し、ひねりの練習に効果的であることを見出します。トランポリンを使った練習により、ひねりの感覚を習得し、オリンピック本番ではひねりを加えた「新・山下跳び」を披露し、見事金メダルに輝きました。

東京オリンピック閉幕後、山下は結婚。幼少時から世話になった叔母と養子縁組し、松田姓を名乗ることになります。

1966年の世界体操競技選手権（西ドイツ・ドルトムント）では、団体総合と種目別跳馬で再び金メダルを獲得。1968年まで現役選手として活躍した後、日本体育大学で指導者となり、監物永三や塚原光男など、数々の名選手を育成しました。また、1970年代にはインディアナ州立大学でバイオリズムの研究にも携わっています。

1976年のモントリオールオリンピックでは女子コーチ、日本選手団の総務として参加。1990年の第11回アジア競技大会（北京）では、体操日本代表の監督を務めました。

日本体操協会では女子強化委員長や専務理事などの要職を歴任し、2000年には竹本正男、小野喬、遠藤幸雄に次いで4人目となる国際体操殿堂入りを果たしました。同年には、故郷の宇和島市から名誉市民の称号を贈られています。2017年秋には、長年のスポーツ界への貢献が認められ、瑞宝中綬章を受章しました。

日本体育大学時代の同級生には、俳優の千葉真一がいます。現在は日体大を定年退職後、体育系大学予備校である体育進学センターの校長を務めています。

主な記録

1962年世界体操競技選手権：団体優勝、個人総合7位、跳馬2位
1964年東京オリンピック：団体優勝、個人総合6位、跳馬優勝、鞍馬4位
1966年世界体操競技選手権：団体優勝、個人総合10位、跳馬優勝

山下治広は、選手としてだけでなく指導者としても、日本の体操界に大きな足跡を残しました。彼の編み出した「山下跳び」は、体操の歴史にその名を刻み、後世に語り継がれています。

関連項目

オリンピックの体操競技・日本人メダリスト一覧
体操競技の技名一覧
宇和島市総合体育館 - 彼が獲得したオリンピック金メダルが飾られています。

外部リンク

山下治広 - Olympedia（英語）
サンスポ　山下治廣－切れ味鋭い「ヤマシタとび」
* 国際体操殿堂公式サイト＞山下治広（英語）

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