山之井

北村季吟と俳書『山之井』

『山之井』は、北村季吟によって編纂された俳書であり、慶安元年（1648年）に刊行されました。本書は4巻から成り立っており、題簽には「四季」と「日々発句」との記載があります。季吟は、当時の四季に関連した季題を解釈し、それに基づく俳句を収集して紹介しています。また、正章や長頭丸、正式、加友など、多くの著名な俳人の作品を例として示しているのも本書の特徴です。

『増山の井』の登場

その後、寛文3年（1663年）には、季吟がさらに改訂を重ねた『増山の井』が出版されました。この俳書は、先に発表された『山之井』に収められなかった四季の詞をまとめたもので、実際には野々口立圃の『嚔草大全』を改訂した作品とされています。『増山の井』に収められた俳句も、季吟が当時の俳人のスタイルや感性を伝える重要な資料となっています。

続編『続山の井』

さらに、寛文7年（1667年）には、『続山の井』が刊行されました。この俳書は7巻から成り立ち、北村湖春が編纂を担当しています。『増山の井』の続編として位置づけられ、伊賀国の作者36人による発句や附句が収められています。特に、宗房（後の芭蕉）による発句が28句、附句が2句含まれており、俳句の発展や流派の変遷を知る貴重な資料となっています。

本書の重要性

これらの作品は、俳句の歴史において極めて重要な位置を占めています。『山之井』、その続編たる『増山の井』と『続山の井』は、当時の文化や風俗を反映した俳句の宝庫であり、作者たちの感性や表現力を知るための貴重な資料として広く評価されています。特に、季吟や湖春といった人物の役割や影響力は、後の俳人たちに深い影響を及ぼしました。

まとめ

北村季吟が手掛けた『山之井』を始めとするこれらの作品は、勤勉な俳人たちの創作活動を記録するだけでなく、四季の美しさや日々の営みを詠むことで、後の世代に向けて多くのインスピレーションを提供しています。これらは、俳句を愛する人々にとって不可欠な文献であり、俳句の文化を理解するための礎となるものなのです。

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