山住正己

山住正己

山住正己（やまずみ まさみ、1931年1月30日 - 2003年2月1日）は、日本の著名な教育学者であり、東京都立大学の名誉教授でした。彼の父は、戦前期に大蔵官僚として活躍した山住克己です。

経歴

東京都で生まれた山住正己は、東京大学教育学部を卒業後、同大学院に進みました。1959年には日本女子経済短期大学の講師に就任。1960年、「わが国初等教育における唱歌教育成立過程にかんする研究」で東京大学から教育学博士号を取得しました。教育者としてのキャリアを着実に築き上げ、1972年には東京都立大学人文学部の助教授に就任、1981年には教授へと昇進しました。1993年から1999年まで東京都立大学の学長を務め、1994年に定年退官。その後も教育科学研究会の委員長として、教育研究の発展に尽力しました。

山住正己は、音楽教育を専門として研究活動を行いましたが、教科書問題や日の丸・君が代問題など、教育を取り巻く社会的な問題にも積極的に発言し、市民運動にも参加しました。また、日教組の教研集会にも助言者として協力するなど、教育現場への貢献も行っていました。

2003年2月1日、肺炎のため東京都新宿区の病院で逝去。72歳でした。

著書

山住正己は、数多くの著書を執筆し、教育界に多大な影響を与えました。以下に主な著書を挙げます。

音楽と教育 (国土社, 1966)
唱歌教育成立過程の研究 (東京大学出版会, 1967)
教育の復権 教育課程と教科書 (国土社, 1968)
現代日本の教育と文化 (福村出版, 1970)
教科書 (岩波新書, 1970)
教科書と教師の責任 (国土社, 1971)
教育入門 本と人と問題と (東京大学出版会, 1972)
教育とはなにかを求めて (草土文化, 1976)
中江藤樹 (朝日新聞社, 1977)
教育内容と日本文化 (青木書店, 1977)
教育勅語 (朝日選書, 1980)
教育史に学ぶ (新日本出版社, 1981)
社会科教育の出発 「文部省著作社会科教科書」解説 (日本図書センター, 1981)
学校教科書 (朝日選書, 1982)
PTAで教育を考える "眠れる獅子"をゆり起こす (晩成書房, 1982)
教科書問題とは何か (岩波ブックレット, 1983)
「教育」の同時代史 (平凡社, 1984)
教育の危機 (すずさわ書店, 1984)
日本教育小史 近・現代 (岩波新書, 1987)
日の丸・君が代問題とは何か (大月書店, 1988)
学習指導要領と教科書 (岩波ブックレット, 1989)
学校と日の丸・君が代 (岩波ブックレット, 1990)
本を読む・教科書を読む (労働旬報社, 1992)
子どもの歌を語る 唱歌と童謡 (岩波新書, 1994)
大学で教育と文化を語る 東京都立大学総長発言集 (エイデル研究所, 1995)
教育のための想像力 (大月書店, 1996)
送る言葉迎える言葉 大学・高校の卒業式・入学式で (岩波ブックレット, 1997)
戦争と教育 四つの戦後と三つの戦前 (岩波セミナーブックス, 1997)
點鬼簿 先達を偲び、先達に学ぶ (国土社, 2001)

これらの著書は、教育学、音楽教育、教科書問題、日本の教育史など、幅広いテーマを扱っており、教育関係者や研究者にとって貴重な資料となっています。

また、共編著として以下の書籍も手掛けています。

日本の子どもの歌 歴史と展望 (園部三郎共著, 岩波新書, 1962)
検定とのたたかい 教科書裁判における「家永三郎証言」 (浪本勝年共編著, 総合図書, 1969)
洋楽事始 音楽取調成績申報書 (伊沢修二（校註）, 平凡社, 1971)
子育ての書 全3巻 (中江和恵共編, 平凡社, 1976)
教育理念 (堀尾輝久共著, 東京大学出版会, 1976)
学校教育と住民自治 (総合労働研究所, 1977)
史料日本の教育 (神田修共編, 学陽書房, 1978)
いま教科書を (晩声社, 1981)
教科書と子どもたちの未来 (すずさわ書店, 1981)
岩波教育小辞典 (五十嵐顕、大田堯、堀尾輝久共著, 岩波書店, 1982)
歴史を学校でどう教えるか (永原慶二共著, 岩波ブックレット, 1988)
日本近代思想大系 6 教育の体系 /校注 (岩波書店, 1990)
どうする「日の丸・君が代」教育 (労働旬報社, 1990)
あなたは君が代を歌いますか 日の丸・君が代問題と学校教育 (国土社, 1990)
福沢諭吉教育論集 (岩波文庫, 1991)
小学校教科書を読む 新検定をへて (俵義文共著, 岩波ブックレット, 1992)
文化と教育をつなぐ (国土社, 1994)
* 新編綴方教室 (豊田正子, 岩波文庫, 1995)

山住正己の業績は、日本の教育界に深く刻まれており、彼の研究と実践は、今後の教育のあり方を考える上で重要な示唆を与え続けています。

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