山前譲

山前譲（やままえ ゆずる）

1956年1月7日生まれ、北海道出身の日本の推理小説研究家。北海道大学理学部地球物理学科を卒業後、建設土木コンサルタント会社に勤務。

経歴

1982年、かねてより私淑していた推理作家・鮎川哲也の著書『戌神はなにを見たか』の解説を執筆したことを機に、推理小説研究家としての活動を本格化させました。以降、幅広い推理小説の知識を生かし、解説、アンソロジーの編纂など、多岐にわたる分野で活躍。その活動は、日本のミステリー文学界に多大な影響を与えています。


雑誌『幻影城』のファンクラブ「怪の会」の元会員であり、ミステリー文学資料館の編集委員も務めています。これらの活動からも、山前氏のミステリーに対する深い愛情と情熱がうかがえます。


2003年には、新保博久氏との共著『幻影の蔵』で第56回日本推理作家協会賞（評論その他の部門）を受賞。この受賞は、山前氏の評論家としての実力と、ミステリー文学への貢献を広く認められた証と言えるでしょう。

主な著書と編纂・監修

著書
『日本ミステリーの100年 おすすめ本ガイド・ブック』（2001年、知恵の森文庫）
『幻影の蔵―江戸川乱歩探偵小説蔵書目録』（2002年、東京書籍）- 新保博久との共著

編纂・監修
江戸川乱歩全集（光文社文庫） - 『孤島の鬼』、『大暗室』、『黄金仮面』など多数
江戸川乱歩コレクション（河出文庫） - 『乱歩打明け話』など、新保博久との共編
本格推理展覧会（青樹社文庫） - 鮎川哲也監修のシリーズを含む
七人の名探偵シリーズ（廣済堂ブルーブックス）
女性ミステリー作家傑作選（光文社）
小説推理傑作選（双葉社）
鉄道ミステリー名作館（徳間文庫）


これらの著作・編纂・監修からもわかるように、山前氏は特定の作家やジャンルにとらわれず、幅広いミステリー作品に精通しています。

その他の活動

推理小説雑誌細目総覧などの資料編纂
各種アンソロジーへの参加
ミステリー関連のムック、小説への解説執筆


これらの活動からも、山前氏が日本のミステリー文学の発展に大きく貢献してきたことがわかります。

山前譲の研究家としての特徴

山前氏の評論の特徴は、作家や作品に対する深い理解に基づいた、冷静かつ客観的な分析です。単なる作品の紹介にとどまらず、作品が書かれた時代背景、作家の思想、他の作品との関連性など、多角的な視点から作品を深く掘り下げています。また、その解説は読者にとって非常にわかりやすく、ミステリーへの興味を深めるきっかけとなっています。特に、江戸川乱歩作品への造詣が深く、関連書籍の編纂や解説を数多く手がけています。

まとめ

山前譲は、日本の推理小説界において、評論、アンソロジー編纂、解説など、多岐にわたる分野で活躍する、重要な研究家の一人です。その深い知識と情熱、冷静な分析力は、多くのミステリーファンを魅了し続けています。今後も、その活躍が期待される人物です。

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