山口久太

山口久太：教育とスポーツに捧げた生涯

山口久太（やまぐち ひさた、1911年4月26日 - 1993年7月12日）は、日本の教育者であり、スポーツ界の発展に大きく貢献した人物です。元日本体育協会副会長、名誉副会長、東海大学体育学部長を歴任しました。

生涯と業績

1911年、明治時代最後の年に佐賀県東松浦郡相知町（現在の唐津市）で生まれました。下村湖人の薫陶を受け、旧制唐津中学（現在の佐賀県立唐津東高等学校）を卒業後、東京高等師範学校（現・筑波大学）体育科に進学し、体育教師を目指しました。1934年3月に東京高等師範学校体育科を卒業後、旧制甲府中（現・山梨県立甲府第一高等学校）や旧制広島一中（現・広島県立国泰寺高等学校）で体育教諭として教鞭を執りました。

戦後、千葉県に体育担当地方事務官として迎えられ、千葉県立佐原高等女学校校長、千葉県立船橋高等学校校長を歴任。その後、創立間もない習志野市立習志野高等学校の校長として、同校を全国屈指の文武両道の学校に育て上げました。この実績が東海大学創立者の松前重義の目に留まり、東海大学第一高等学校校長に招聘され、後に東海大学体育学部教授、体育学部長を務めることとなりました。

スポーツの普及にも尽力し、国民体育大会委員長やスポーツ外交団として、国交回復間もない中華人民共和国、冷戦下の朝鮮民主主義人民共和国、東ドイツを訪問し、国際平和にも貢献しました。アマチュアスポーツ界の重鎮として、日本体育協会理事を経て副会長に就任。晩年は名誉副会長として、その功績を称えられました。

八千代松陰学園の創立

1978年、老境に差し掛かっていた山口は、明治維新の志士を輩出した松下村塾の吉田松陰の理想を現代に再現すべく、学校創立を志しました。資金は乏しかったものの、人脈と教育への情熱を武器に、千葉県八千代市の地元名士で当時千葉県議会議員であった江口一雄から、広大な梨畑の土地の無償提供を受け、八千代松陰学園を創立しました。

山口久太は初代理事長兼校長に就任し、「日本一になれ！」を合言葉に、スポーツでは甲子園出場、勉学では東京大学合格者輩出を目指しました。開校2年目には春の選抜高等学校野球大会に出場、その後夏の全国高等学校野球選手権大会にも出場。開校3年目にはレスリング部から全国チャンピオンを輩出しました。八千代松陰学園は現在、千葉県屈指の進学校として知られ、多くの卒業生が各界で活躍しています。

晩年は体調を崩し、1993年に逝去。学校発展のモデルは、神奈川県屈指の進学校であり、高校野球で全国優勝経験を持つ桐蔭学園であったと言われています。

人物

自由民主党衆議院議員を務めた園田博之は、習志野高校校長時代の教え子です。

受章歴

1943年 勲六等瑞宝章
1974年 藍綬褒章
1981年 勲三等瑞宝章


山口久太は、教育者として、またスポーツ振興に尽力した人物として、その名は永く記憶されるでしょう。

著書

「草原有情ーモンゴル遠征の記録」、東海大学出版会、1970年
「チョンリマの国朝鮮」、東海大学出版会、1972年
『わが青春－その光と陰の中で』、学校法人八千代松陰学園、1985年

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