相知町

佐賀県相知町：炭鉱の歴史と豊かな自然が息づく地

相知町（おうちちょう）は、佐賀県の北西部に位置し、東松浦郡に属していた町です。2005年に唐津市と合併し、現在は「唐津市相知町」としてその名が残っています。20世紀半ばまでは炭鉱の町として栄えましたが、現在は豊かな自然と歴史が息づく地域として知られています。

地理

相知町は、松浦川とその支流が作り出す盆地に位置しています。南西の伊万里市から流れる松浦川、南東の厳木町からの厳木川、南からの平山川、東からの伊岐佐川（岐佐川）が、町の中央部で合流します。松浦川はそこから北へ流れ、唐津市へと続いています。相知という地名は、これらの川が「逢う地」であることに由来すると言われています。町の地形は、平山川の流域が南に突き出し、八幡岳を境としています。東の伊岐佐川は比較的短く、町の範囲は作礼山によって区切られています。

山がちな地形ではありますが、八幡岳や作礼山の山塊を除けば標高は高くありません。丘陵地帯にはため池が多く見られます。冬には、山沿いで比較的積雪が多く、山間部では冬の間中雪が降る場所もあります。米の栽培が盛んであり、主な品種は「夢しずく」や「さがびより」です。また、特産品としては「相知高菜」が有名です。

主な山：八幡岳 (763.6m)、作礼山 (887.1m)、三方山 (505.2m)、岸岳 (313m)、陣ノ山 (303.7m)、日ノ高地山 (288.1m)、霧佐山 (209.6m)
主な河川：松浦川、厳木川、伊岐佐川、左伊岐佐川、右伊岐佐川、平山川
主な湖沼・ダム：伊岐佐ダム（左伊岐佐川）、長場恵溜池、新溜池、郷目木溜池

歴史

1889年（明治22年）4月1日、町村制の施行により16の村が合併し、相知村が誕生しました。1935年（昭和10年）9月1日には、相知村が相知町となりました。その後、1948年（昭和23年）に大野、黒岩、伊岐佐が相知町に編入され、1955年（昭和30年）9月には町章が制定されました。2004年（平成16年）9月3日から4日にかけては、第10回全国棚田（千枚田）サミットが開催されました。

しかし、2005年（平成17年）1月1日、相知町は唐津市、浜玉町、厳木町、北波多村、肥前町、鎮西町、呼子町と合併し、唐津市の一部となりました。

行政・放送・通信

最後の町長は大草秀幸氏で、2004年3月24日から消滅時まで務めました。
放送に関しては、ケーブルテレビ局「あいあいテレビ」（現：ぴ〜ぷる放送）を中心に、NHKや民放各局の番組が視聴可能でした。ラジオ局も、NHK-FMや県域FM局、民放AM局などが受信できました。ケーブルテレビを通じて、福岡県のFM局も再送信されていました。

通信面では、2005年頃からケーブルインターネットが普及し、専用回線を利用すれば町内通話が無料となるサービスもありました。2010年頃には、作礼山キャンプ場や見帰りの滝を含む多くの地区で、auやDoCoMoの携帯電話が利用可能になりましたが、山間部などでは現在でも繋がりにくい場所があります。

地域と教育

相知町の平均年齢は57.5歳と高齢化が進んでいます。
教育機関としては、町内に複数の小学校と中学校が存在しましたが、2003年や2010年に廃校となった小学校もあります。相知中学校は現在も存続しています。

交通

最寄りの空港は佐賀空港ですが、福岡空港や長崎空港も利用可能です。
鉄道は、JR唐津線と筑肥線が町内を走っています。かつては、唐津線岸嶽支線や相知炭鉱支線も存在しましたが、廃止されました。
バス路線は、花タウンバスが町内全域と伊万里市の一部を、昭和バスが唐津大手口バスセンターと佐賀バスターミナルを結んでいます。
道路は、国道203号や複数の県道が通っていますが、高速道路はありません。

名所・旧跡・観光スポット

相知町には、豊かな自然と歴史を感じさせる多くの観光スポットがあります。

あじさいまつり（6月）
相知くんち（10月）
町民まつり（11月）
相知ロードレース大会（12月）
蕨野の棚田（日本の棚田百選、重要文化的景観、遊歩百選）
見帰りの滝（日本の滝百選、落差は九州一）
あじさい館
鵜殿石仏群
幡随院長兵衛生誕の記念碑
天徳の丘運動公園
相知町立図書館
相知城跡（現在は町立相知中学校の敷地内）
池田城跡
村田英雄記念館
佐里温泉
伊岐佐窯

出身人物

相知町出身の著名人としては、歌手の村田英雄氏、お笑い芸人の岩部彰氏（ミサイルマン）、スキー選手の峯孝廣氏、歌手の少年ピースなどがいます。

相知町は、炭鉱の歴史を持ちながらも、豊かな自然と歴史的な遺産が今も大切に守られている地域です。

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