山口芳宏

山口芳宏は、1973年に三重県で生まれた日本の小説家であり、推理作家としても知られています。横浜国立大学工学部を卒業後、ゲーム業界でプランナーやシナリオライターとして活躍しました。その後、2007年に『雲上都市の大冒険』で第17回鮎川哲也賞を受賞し、小説家デビューを果たしました。

彼の作風は、古典的なミステリーの要素を取り入れつつ、独自のユーモアやエンターテイメント性を加味している点が特徴です。特に、初期の作品には、冒険小説的な要素が強く見られ、読者をワクワクさせるような展開が魅力となっています。受賞作である『雲上都市の大冒険』は、その代表的な作品と言えるでしょう。この作品は、もともと「雲上都市の怪事件」というタイトルで応募されましたが、受賞を機に改題されました。また、後に創元推理文庫からも文庫版が刊行され、より多くの読者に親しまれています。

山口芳宏の作品に影響を与えた作家として、シャーロック・ホームズの生みの親であるコナン・ドイル、無頼派作家として知られる坂口安吾、幻想的な作風が特徴の海野十三、そして本格ミステリー作家の天藤真、蘭郁二郎、文豪・夏目漱石といった名前が挙げられています。これらの作家の作品から影響を受け、独自のミステリーの世界を構築していることが伺えます。

小説家デビュー前には、東京創元社が主催する第4回創元推理短編賞にも応募しており、最終選考まで残っています。この時の短編賞は受賞作なしという結果でしたが、佳作として大倉崇裕と緑川宝が選ばれています。この経験が、彼の小説家としてのキャリアに大きな影響を与えたことは想像に難くありません。

彼の主な作品には、『雲上都市の大冒険』の他に、『豪華客船エリス号の大冒険』、『妖精島の殺人』、『学園島の殺人』、『100人館の殺人』、『蒼志馬博士の不可思議な犯罪』などがあります。これらの作品は、それぞれ異なる舞台設定と、趣向を凝らした謎解きが魅力で、多くの読者を惹きつけています。特に、『妖精島の殺人』は上下巻に分かれており、そのボリューム感と複雑なストーリー展開が見どころです。また、『豪華客船エリス号の大冒険』も、豪華客船を舞台にしたミステリーとして人気があり、文庫版も刊行されています。

小説以外にも、1997年には『ゲームクリエイターになりたい!夢を実現する裏ワザを大公開』という書籍を執筆しており、ゲーム業界での経験を活かした内容となっています。これは、彼の幅広い才能を示す一例と言えるでしょう。

山口芳宏は、現代の日本のミステリー界を牽引する作家の一人として、今後も多くの読者を魅了する作品を生み出していくことでしょう。

主な作品リスト

雲上都市の大冒険（東京創元社、2007年10月） - 第17回鮎川哲也賞受賞作
文庫版- 創元推理文庫、2011年1月
豪華客船エリス号の大冒険（東京創元社、2008年11月）
文庫版 - 創元推理文庫、2012年2月
妖精島の殺人（上下巻）（講談社ノベルス、2009年9月、10月）
学園島の殺人（講談社ノベルス、2010年2月）
100人館の殺人（東京創元社、2010年3月）
蒼志馬博士の不可思議な犯罪（創元推理文庫、2011年6月）

小説以外の著作

* ゲームクリエイターになりたい!夢を実現する裏ワザを大公開（ベストセラーズ、1997年3月）

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