海野十三

海野 十三（うんの じゅうざ）

概要

海野十三は1897年12月26日に生まれ、1949年5月17日に逝去した日本の小説家であり、特にSFや推理小説で知られています。本名は佐野昌一であり、彼は「日本SFの始祖の一人」とも称されています。作品の中には探偵小説、ミリタリーSF、科学解説など多岐にわたるジャンルが含まれています。

生涯と業績

海野は徳島市で生まれ、幼少期には祖父の世話を受けて育ちました。小学校3年生の時に神戸に移り、神戸一中を卒業後は早稲田大学で電気工学を学びました。逓信省の職務のかたわら、短編の探偵小説を発表し、1928年に雑誌『新青年』に掲載された『電気風呂の怪死事件』で文壇デビューを果たします。

彼の作品は、1930年代から1940年代にかけて発表され、多くは軍国主義をテーマにしたものでした。1941年には海軍従軍作家として南方ラバウルで活動し、その経験が後の作品に影響を与えました。戦争や敗戦への衝撃を受けた後、戦後は健康を害しつつも創作活動を続けましたが、1946年に友人の死が追い打ちとなり、失意の日々を送りました。

1947年には極端な国家主義的団体への参加が問題視され、公職追放の対象となるも、異議申し立てを行って解除されました。

作品とスタイル

海野十三は多くのペンネームを使い分けており、本名の他にも丘十郎、蜆貝介、栗戸利休などの名義でさまざまなジャンルの作品を執筆しました。特に「海野十三」という名は、麻雀が好きだったことに由来しています。

彼の作品にはSF的なアイディアが多く盛り込まれており、探偵小説の要素もあわせ持つ作品が特徴的です。探偵役の帆村荘六が登場する短編も、ミステリとSFの交錯する興味深い作品群を生み出しました。特に彼の作品はここに留まらず、日本のSFや推理小説の発展に多大な影響を与えました。

人柄と私生活

海野は温厚で誠実な人柄であり、友人たちとも深く信頼し合っていました。特に横溝正史との交流は深く、お互いに作品への影響を与え合ったことでも知られています。戦後は経済的な困難を経験しつつも、業界内での人間関係を大切にし、年老いていくにつれてその交流を深めたとされます。

文学碑と評価

彼の功績を称えて、徳島市には「海野十三文学碑」が建設されています。この碑には彼の言葉も刻まれており、科学がもたらす光と影について論じています。

翻訳版と国際的な影響

海野十三の作品は国内外で翻訳され、多くの読者に受け入れられています。特に中国語や英語への翻訳も行われ、彼の作品世界は国を越えて広がっています。

まとめ

海野十三は日本の文壇に多大な影響を与えた作家であり、SFと推理小説の先駆者として、彼の作品は今なお多くの読者に愛されています。彼の独自の視点と豊かな想像力は、現代の文学にも引き継がれています。

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