山口貯水池

山口貯水池について

山口貯水池（やまぐちちょすいち、英語名：Yamaguchi Reservoir）は、埼玉県所沢市と入間市にある人造湖で、狭山湖（さやまこ）の別名で広く知られています。この貯水池は1934年に完成し、東京都水道局が管理する重要な水源として役立っています。

概要

山口貯水池は、主に多摩川からの導水によって水を供給されます。具体的には、羽村市の小作取水堰や羽村取水堰からの水がこの湖に流れ込み、一部は周辺の金堀沢や大沢からの天然湧水も含まれています。この貯水池の水は、東村山市にある東村山浄水場や、武蔵野市の境浄水場に送られ、東京都の上水道として利用されています。しかし、埼玉県内にありながら、東京都水道局による管理のため、埼玉県の水道供給には用いられていません。

北岸には歴史的な根古屋城の城跡があり、また隣接する村山貯水池（多摩湖）も東京の水源として重要な役割を果たしています。

歴史・経緯

東京市の人口が増加する中で、水源確保のため、1927年に山口村の開発が着手されました。このプロジェクトは、東京市水道の拡張事業の一環で、7年をかけて完成しました。山口貯水池は狭山丘陵の地形を活用して造られ、工事に伴い、地域の集落が離村するという歴史もあります。さらに、羽村-横田間の軽便鉄道の再敷設なども行われ、砂利運搬の役割を果たしました。この廃線跡は後に野山北公園の自転車道や神明緑地として整備されています。2007年には、村山貯水池とともに土木学会から選奨土木遺産に認定されています。

戦時中の補強工事

第二次世界大戦中、空襲による被害を防ぐため、貯水池に対して補強工事が行われました。1943年から1944年にかけて、羽村山口軽便鉄道が復活し、材料を運搬しました。さらに、堰堤の強化や耐弾層の施工が行われ、今でもその影響が視認できます。

平成の耐震工事

1995年の阪神淡路大震災を契機に、1998年から2002年にかけて耐震工事が実施されました。この工事では、堤防と取水塔の補強が行われるとともに、新たに階段や展望デッキが設置され、利便性も向上しました。その際に発見された勝楽寺時代の高欄や親柱は、建設当時の貴重な遺物として注目されています。

自然

山口貯水池の周囲は、松やクヌギの雑木林に囲まれており、四季ごとに異なる美しい風景が楽しめます。春になると2万本のソメイヨシノが咲き誇り、湖周辺は多くの観光客で賑わいます。周囲は狭山自然公園として保護されており、「狭山丘陵いきものふれあいの里」や「さいたま緑の森博物館」も整備されています。これにより、訪問者は豊かな自然について学ぶこともできます。

交通アクセス

山口貯水池には西武狭山線の西武球場前駅から徒歩約17分でアクセスできます。なお、この駅は1951年から1979年の間、「狭山湖駅」と呼ばれていました。

結論

山口貯水池は、その美しい自然環境や歴史的背景、観光地としての魅力が凝縮された場所です。訪れる人々にとって、四季折々の風情を感じながら、心安らぐひとときを提供してくれるでしょう。

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