足利学校

足利学校について

足利学校（あしかががっこう）は、栃木県足利市に位置する中世の高等教育機関であり、平安時代または鎌倉時代に創設されたとされています。この学校は「坂東の学校」とも呼ばれ、室町時代から戦国時代にかけて、関東地域における学びの中心地として栄えました。足利学校の創設年や創設者については異なる説がありますが、1868年まで存続し、その後は1915年に図書館としての役割を担いました。

概要

足利学校の所在地は現在の足利市で、明治5年（1872年）に廃校となりましたが、その後も跡地には孔子廟などの一部の建物が残りました。1990年には方丈や庭園が復元され、一般公開が開始され、今では地域の心の拠り所や学びの場となっています。これらの復元作業は、教育委員会によって管理され、地域住民にとっても大切な存在となっています。

歴史

足利学校の創立年代については長い間議論があり、特に室町時代初期には衰退が見られましたが、1432年に上杉憲実が学校の再興に尽力したことで復活を遂げました。彼は鎌倉円覚寺の僧快元を校長に招くなどの措置をとり、蔵書を寄贈することで学校の活性化を図りました。この時、教育内容は儒学が中心となり、仏教の教えは学校教育から排除されました。

また、学費は無料であり、学生は僧籍に入ることで学びながら地元住民との交流を深めていました。学校内には畑や薬草園もあり、学生たちは自らの食糧や学びの材料を得るための努力をしていました。

享禄年間には火災に見舞われ一時的に衰退しましたが、第7代庠主である九華の指導により復興し、約3000人の学生が在籍するほどに盛況を迎えました。キリスト教の宣教師フランシスコ・ザビエルはこの学校を「坂東のアカデミー」と讃え、国内外にその名が広がりました。

足利学校は、1590年の豊臣秀吉による小田原征伐を契機に庇護者を失いますが、徳川家康の保護の下で存続しました。江戸時代には幕府からの支援を受けつつ、地域住民の学びの場としての役割をになったが、時代の流れと共に教えが朱子学中心に移行し、足利学校は徐々に衰退していきました。明治維新以降、学校は藩校として復興を図るものの、1872年には廃校が決定しました。

現在の状況

廃校後、足利学校の跡地は東小学校等に転用され、一部の建物は解体されましたが、旧足利藩士たちの努力により蔵書を地元に戻し、現在も重要な文化財として保存されています。1903年には足利学校遺蹟図書館が設立され、関連する文化財の保護、保存活動が展開されています。

1990年には復元作業が完了し、国の史跡にも指定されており、今では地域の教育文化の象徴的な存在となっています。さらに2015年には「近世日本の教育遺産群」として日本遺産に認定され、その重要性が広く認識されるようになりました。

論争と文化財

足利学校の成立や初期の体制についてはいまだに議論が存在し創設時期を巡る異なる説があります。いくつかの古文書や文献が存在しますが、確かな証拠が不足しているため、様々な解釈がなされています。また、足利学校は多くの重要文化財を所蔵しており、『宋版尚書正義』などの国宝を含む貴重な書籍を保持しています。このように足利学校は、歴史的・文化的な価値が高い場所であり、今なお地域の教育と文化を支えています。

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