山寨手機

山寨手機（さんさいしゅき）とは

山寨手機（シャンジャイショウジ）は、中国語で「模倣携帯電話」を意味し、主に国内で製造されたもので、大手ブランドに似たデザインが特徴です。この携帯電話は、フィンランドのノキアや米国のモトローラのような有名メーカーの製品に類似しており、外観やロゴを微妙に変更することで、違法性を回避しています。また、中国国内において一般に流通しています。

語源

「山寨」の語は元々「山の要塞」や「山賊の隠れ家」を指し、そこから派生して「偽造品」を意味するようになりました。また「手機」は携帯電話を指します。このような言葉の背景は、山寨手機の根底にある製造文化を反映しています。

製品の特性

山寨手機として流通している製品は、製造元が不明ですが、安価で低品質なイメージとは裏腹に、機能面では海外から輸入される同額帯の製品よりも、高いパフォーマンスを持つことがあります。特に、MediaTek社の技術を活用して、海外製品にはない機能を付加することが可能です。これにより、デザインの模倣にとどまらず、機能面でも独自性を持った製品が生まれることがあります。

産業の規模

この市場は年々拡大を続けており、年間1億台以上の山寨手機が製造されています。しかし、製造業者や流通業者は、認証を受けたり、付加価値税を支払ったりすることは少なく、業界の透明性には疑問が残ります。ほとんどの製造業者は、台湾のMediaTek製の半導体を使用しており、香港のCaixonなどの設計会社が製品設計を担当しています。このように、設計から製造までのプロセスが専門分化されている点が、山寨手機の生産を支えている要因の一つです。

歴史的な経緯

2002年に設立された天宇朗通（Beijing Tianyu Communication Equipment）社は、初めは正規の携帯電話を販売していましたが、2005年からは山寨手機の製造を開始しました。この企業は、2009年には国内市場でカメラ付き携帯電話を好む消費者のニーズに応え、最大手の一角を占めていました。特に、ノキアやサムスンを追い越す勢いで製品を販売し、短期間で市場シェアを拡大しました。

市場の衰退

しかし、2012年以降、スマートフォンの普及に伴い、ファーウェイやZTEなどの大手企業が手頃な価格で品質の良い端末を提供するようになりました。このような変化により、山寨手機は価格以外の魅力を失い、急速に市場が縮小していきました。通信事業者が3Gサービスを普及させるため、正規端末にインセンティブを提供することで、山寨手機の競争力はさらに低下しました。

類似製品

また、山寨手機と同様に「山寨筆記本」と呼ばれる模倣ノートパソコンも存在します。これらの製品は、中国国内で簡単に入手可能なインテルのAtomプロセッサを使用することで廉価に提供され、多種多様なデザインが見られます。

まとめ

山寨手機は、中国における模倣文化の一環として、独特の市場を形成しています。急成長を遂げた一方で、時代の流れにより衰退していく様相を呈しています。このような現象は、技術革新と国際的な競争の影響を色濃く反映しています。

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