山岸二郎

山岸二郎：昭和テニス界のレジェンド

山岸二郎（1912年5月23日 - 1997年1月30日）は、福岡県門司市（現在の北九州市門司区）出身のテニス選手です。慶應義塾大学を卒業後、旭硝子に勤務しました。1930年代後半、日本テニス界を牽引する存在として活躍し、数々の輝かしい成績を残しました。

国内での圧倒的な強さ

山岸のテニスキャリアは、全日本テニス選手権での活躍が際立っています。1933年から1936年にかけて、西村秀雄とのペアで男子ダブルス4連覇を達成。シングルスでは、1934年から1936年まで3連覇を達成するなど、日本国内では無類の強さを誇りました。

しかし、1937年の全日本選手権では、ドイツの強豪選手を相手にシングルス、ダブルスともに決勝で敗れ、連覇は途絶えます。当時の日本テニス界において、タイトルを外国選手に奪われることは大きな屈辱と受け止められていました。翌1938年には、シングルスとダブルスのタイトルを奪還し、シングルス通算4勝、ダブルス通算5勝という偉大な記録を残しました。佐藤次郎の後継者として、日本テニス界を代表する選手として君臨しました。

国際舞台での活躍

国内にとどまらず、山岸は国際舞台でも活躍しました。1934年から1938年にかけて、デビスカップの日本代表選手として出場。1938年のデビスカップ「アメリカン・ゾーン」決勝では、世界ランキング3位だったジョン・ブロムウィッチを破る金星を挙げました。この試合は、山岸のテニス人生における最大の勝利と言えるでしょう。オーストラリア代表のエイドリアン・クイストは、自著の中で山岸のプレーについて詳細に回想しており、その実力が高く評価されていることが分かります。

四大大会では、1932年の全米選手権に初出場。ウィンブルドン選手権には1934年、1935年、1937年の3度出場し、1934年には4回戦進出という自己最高成績を収めました。また、1935年にはウィンブルドン選手権の敗者復活戦である「オール・イングランド・プレート」で優勝しています。全仏選手権には1935年に出場しましたが、2回戦敗退に終わりました。

全米選手権での記録とその後

1937年の全米選手権では、山岸と中野文照の2人が日本人男子として4回戦に進出しました。これは、71年後、2008年の錦織圭の4回戦進出まで破られることのなかった偉業でした。山岸は4回戦でアメリカのジョー・ハントに敗れましたが、この大会での活躍は、彼の国際的な地位を確固たるものにしました。1937年には世界ランキング9位、1938年には8位にランクインしました。

選手引退後は、1953年にデビスカップ日本代表監督を務めました。しかし、アメリカチームに全敗という結果に終わりました。1969年には、「蔵前テニスクラブ」の会報誌にエッセイを発表し、後進の指導にも当たりました。1997年、84歳で逝去しました。

山岸二郎が残したもの

山岸二郎は、昭和初期の日本テニス界を代表する選手として、数々の栄光を手にしました。彼の活躍は、日本のテニス界に大きな影響を与え、後の世代の選手たちにも大きな刺激を与え続けたのです。彼の記録は、日本テニス史に燦然と輝く、永遠の金字塔として語り継がれていくでしょう。

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