山崎小五郎

山崎小五郎：海上自衛隊の礎を築いた官僚

山崎小五郎は、1905年（明治38年）に福岡県で生まれ、1976年（昭和51年）に70歳で生涯を閉じました。彼は、海上自衛官、そして逓信・運輸官僚として、日本の戦後復興期において重要な役割を果たしました。

生い立ちと学歴

山崎は、山崎迂太郎の五男として生まれ、東筑中学、第七高等学校造士館を経て、1931年（昭和6年）に東京帝国大学法学部法律学科を卒業しました。在学中には、高等試験司法科試験、高等試験行政科試験に合格しており、その卓越した能力を示していました。

官僚としてのキャリア

大学卒業後、山崎は逓信省に入省し、深川郵便局を皮切りに、大津郵便局長、華北電政総局経理局主計課長、大阪逓信局無線課長などを歴任しました。戦後は、運輸省に移り、海運総局官房総務長、不法入国船舶監視本部副本部長、海上保安庁保安局長などを務めました。

海上自衛隊の創設と初代海上幕僚長

1952年（昭和27年）、海上警備隊が発足すると同時に、山崎はそのトップである海上警備隊総監に就任しました。これは、当時海上保安庁のナンバー2であった山崎が、偶然にもその任に就いたものでした。その後、海上警備隊は警備隊を経て海上自衛隊へと改編され、山崎は初代海上幕僚長に就任しました。しかし、わずか1ヶ月後には退任し、運輸省に戻り運輸事務次官に就任しています。この異例の転身は、文官から武官へ、そして再び文官へと、山崎の多才ぶりを示すものでした。

海上自衛隊創設への貢献

山崎は、Y委員会の一員として海上自衛隊の創設に尽力しました。MSA協定に基づく日米艦船貸与協定を締結し、護衛艦の国産化を推進しました。コーストガードからネイビーへの橋渡しを終え、その手腕は高く評価されました。

運輸事務次官としての活躍

海上幕僚長退任後、山崎は運輸事務次官に就任し、行政官としての手腕を発揮しました。彼は、日本の運輸行政の発展に貢献し、その功績は今日においても高く評価されています。

その後

運輸事務次官を辞任した後、山崎は参議院議員選挙に立候補しましたが、落選しました。1976年（昭和51年）に心不全のため逝去し、その功績を称えられ、正四位、勲二等瑞宝章が追贈されました。

まとめ

山崎小五郎は、海上自衛隊の創設期において重要な役割を果たし、その後の運輸行政においても多大な貢献をしました。彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた官僚の姿を示すものであり、その功績は長く語り継がれることでしょう。

年譜

1931年（昭和6年）：東京帝国大学卒業、逓信省入省
1947年（昭和22年）：不法入国船舶監視本部副部長
1949年（昭和24年）：経済安定本部部員、建設交通局次長
1951年（昭和26年）：海上保安庁次長
1952年（昭和27年）：海上警備隊総監、保安庁警備隊第二幕僚長
1954年（昭和29年）：初代海上幕僚長、運輸事務次官
1976年（昭和51年）：逝去、正四位、勲二等瑞宝章追贈

栄典

勲二等瑞宝章（1976年）

参考文献

『世界の艦船』2002年5月増刊号 海上自衛隊の50年（海人社）
秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年

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