山崎有恒

山崎有恒氏：近代日本史研究者、そしてユーチューバーの生涯

1964年生まれの歴史学者、山崎有恒氏は、2024年11月21日、台湾での研究活動中に心不全のため60歳で急逝されました。立命館大学文学部教授として、日本近代史を専門とし、その研究領域は治水史、競馬史、植民地史と多岐に渡りました。

東京都世田谷区出身の山崎氏は、東京大学文学部日本史学科を卒業後、同大学院博士課程単位取得満期退学。東京大学文学部助手、群馬大学非常勤講師を経て、1995年に立命館大学に着任。専任講師から助教授、准教授、そして教授へと昇進し、長きに渡り教鞭を執りました。

学術研究活動においては、アメリカ、韓国、台湾の大学で客員研究員・客員教授を務め、国際的な視野も持っていました。1996年には『伊集院兼寛関係文書』を、2012年には『西園寺公望関係文書』を編著するなど、数々の研究成果を残しました。また、『史学雑誌』や『日本歴史』といった歴史学界を代表する学術誌への論文投稿も多数行い、日本近代史研究に大きく貢献しました。

その研究テーマは多様で、明治期の治水政策や議会制度、植民地時代の競馬場といった、近代日本の社会構造や文化を多角的に捉える視点に特徴があります。特に植民地における競馬場というユニークな切り口から、近代日本の植民地支配の実態や社会構造に迫る研究は、高い評価を受けていました。

2018年には、テレビ番組『林修の今でしょ!講座』に出演し、地上波デビューを果たしました。番組で明かされた林修氏との東大時代の同級生というエピソードは、視聴者に大きな話題を提供しました。

近年では、YouTubeチャンネル『ゆうこうちゃんねる』を開設し、ユーチューバーとしても活動。大学休講を受け、オンラインで授業動画を公開するところから始まったこのチャンネルは、近代史にとどまらない幅広い歴史解説動画を提供し、多くの視聴者から支持を集めました。専門的な知識を分かりやすく解説するそのスタイルは、多くの人に歴史への関心を高めるきっかけとなりました。

私生活では、競馬観戦や甘いものが好きという一面も持ち合わせていました。また、歴史上の人物として、松方正義や濱口雄幸を好んでおり、その理由を自身の著書や講演で詳しく語っていました。

突然の訃報は、多くの学生や研究者、そして視聴者たちに深い悲しみを与えました。山崎氏の功績は、日本の近代史研究、そして歴史への関心を高める活動に大きな足跡を残しました。その研究精神と教育への情熱は、これからも多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

彼の残した著作や論文、そしてYouTubeチャンネルの動画は、これからも多くの人々に歴史を学ぶ機会を提供し続けるでしょう。山崎有恒氏の業績は、後世に語り継がれるべきものと言えるでしょう。

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