山川菊栄賞

山川菊栄賞について

山川菊栄賞（やまかわきくえしょう）は、1981年に設立された日本の学術賞で、1990年代以降、特に婦人問題に関する研究を支援する目的で運営されました。この賞は、1980年に亡くなった女性学者・活動家の山川菊栄を記念して作られ、多くの受賞者が日本の女性問題に関する研究や活動を行ってきました。2014年度をもって34回の歴史に幕を下ろしました。

設立の背景

この賞は、山川菊栄の業績を讃え、彼女の影響を受けた研究者やグループを支援するために設立されました。正式な名称は「山川菊栄記念婦人問題研究奨励金」であり、山川菊栄記念会がその運営を担いました。基金の原資は、彼女の遺族から寄せられた寄付金が主なものでした。受賞者には20万円の賞金が授与されました。

対象と選考

この賞の対象は、婦人問題に関する研究や調査に実績を示す個人またはグループでした。設立趣意書や記念会の規約には性別に関する明確な規定はありませんでした。しかし、2007年度の推薦・公募のお知らせでは「原則として女性・女性グループを対象とします」と記され、実際に受賞者の多くが女性であったことが特徴です。ただし、選考する委員会には男性も含まれており、公平な選考が行われました。

受賞者の歴史

山川菊栄賞は、その発足から2014年まで多くの受賞者を輩出しました。初回の1981年度は、柴田博美、冨澤真理子、星野弓子、山田敬子の4名が受賞しました。彼女たちは、山川菊栄の研究に関する報告を発表し、賞の理念を体現しました。

その後の受賞者の中には、さまざまな視点から婦人問題に取り組む著名な研究者がいます。1983年度の受賞者福井美津子は、翻訳活動を通じて海外の女性問題に関する書籍を広め、日本の研究界に新たな知見をもたらしました。また、1999年度の田村雲供は近代ドイツ女性史に関する研究を行い、国際的な視野を持つ女性研究者として注目されています。

特に注目すべきは、2001年度に特別賞を受賞した「戦争と女性への暴力」日本ネットワークです。この団体は、日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷に関する記録を編集し、戦争と女性に関連する重要な問題提起を行いました。

2014年度には、平井和子が「日本占領とジェンダー」をテーマに研究を発表し、今尚重要な問題として語り継がれているテーマに取り組みました。このように、山川菊栄賞は時代や社会の変化に応じた多様なテーマを扱うことができた賞でもありました。

賞の意義

慶応大学や東京大学を含む多くの大学や研究機関で、受賞者の研究は教育や社会運動に影響を与えました。山川菊栄賞を通じて、婦人問題に関する研究の重要性が広まり、社会全体に女性の地位向上を促進する力を持つことが示されました。また、受賞者たちの業績は後世の研究者たちにとっても貴重な資源となり、今後の婦人問題研究の土台を築く一助となったといえます。

終わりに

最後に、山川菊栄賞の活動は1990年代以降、女性の権利や社会的地位の向上に貢献してきたことを忘れてはなりません。この賞が生んだ数々の研究や活動が、多くの女性たちの心を動かし、社会の多様性や平等を志向させる大きな力となったことでしょう。

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