平井和子

平井和子

平井和子（ひらい かずこ）は、日本の歴史学者であり、特に近現代日本女性史とジェンダー史を専門としています。元一橋大学客員教授であり、その研究業績は高く評価され、山川菊栄賞などを受賞しています。

人物・経歴

広島県広島市に生まれた平井和子は、立命館大学文学部を卒業後、中等教育の教員としてキャリアをスタートさせました。その後、1997年に静岡大学教育学部社会科教育修士課程を修了。さらに研究を進め、2014年に一橋大学大学院社会学研究科博士課程を修了し、博士（社会学）の学位を取得しました。

公立中学校や高校で講師を務める傍ら、平井和子は静岡県東部地域で自立して働く女性たち、例えば金山の選鉱婦や海女、助産師などの貴重な証言を記録しました。静岡大学大学院では荒川章二に師事し、静岡県史や静岡県東部の自治体史の編纂に携わりました。2000年代以降は、一橋大学大学院で吉田裕らの指導のもと、占領期の女性史研究に本格的に取り組みました。

研究者としては、静岡大学非常勤講師、大妻女子大学非常勤講師を経て、一橋大学大学院社会学研究科特任講師、一橋大学客員教授、一橋大学ジェンダー社会科学研究センター客員研究員などを歴任しました。

研究内容

平井和子の専門は、近現代女性史、ジェンダー史です。その研究は、日本の近現代における女性の地位、役割、経験を歴史的な視点から深く掘り下げています。2003年度には、静岡県男女共同参画社会づくり活動に関する知事褒賞を受賞しています。

博士論文をまとめた著書『日本占領とジェンダー　米軍・売買春と日本女性たち』（有志舎、2014年）は、2014年度の山川菊栄賞を受賞しました。贈呈式と記念スピーチは2015年2月28日にＹＭＣＡアジア青少年センターで行われました。この書籍では、太平洋戦争敗戦直後、占領軍の兵士向けに日本各地で作られた慰安所や、パンパンと呼ばれる女性たちの実態を詳細に描き出し、軍隊と性暴力の問題を鋭く考察しています。研究のために、御殿場や熱海など静岡県内での聞き取り調査も精力的に行いました。

著書

『西伊豆・土肥の女たち : 聞き書きによる掘り起こし』伊豆郷土史研究会 1985年
『「ヒロシマ以後」の広島に生まれて : 女性史・「ジェンダー」…ときどき犬』ひろしま女性学研究所 2007年
『日本占領とジェンダー : 米軍・売買春と日本女性たち』有志舎 2014年
『戦争と性暴力の比較史へ向けて』（上野千鶴子, 蘭信三と共編）岩波書店 2018年
* 『占領下の女性たち 日本と満洲の性暴力・性売買・「親密な交際」』岩波書店 2023年

平井和子の研究は、歴史学の分野に留まらず、ジェンダー研究、社会学、社会運動など、多岐にわたる分野に影響を与えています。その著作は、日本社会におけるジェンダーの問題を深く理解するための重要な資料となっています。

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