山川黙

山川黙（やまかわ しずか）

生涯

山川黙は、1886年（明治19年）7月26日に東京府四谷区（現在の東京都新宿区）で生まれました。父は東京市の助役を務めた河田烋で、兄に河田烈がいます。旧姓は河田で、後に山川家の養子となり、山川姓を名乗りました。1904年（明治37年）には東京府立第一中学校（現在の東京都立日比谷高等学校）を卒業し、その後、日本山岳会の創立発起人の一人となりました。

1908年（明治41年）には、山川操（山川二葉、山川浩、山川健次郎、大山捨松の姉妹であり、小出光照の妻、昭憲皇太后の女官）の養子となり、山川姓を名乗るようになりました。1913年（大正2年）には東京帝国大学理学部植物学科を卒業しています。

1915年（大正4年）には、昭憲皇太后の女官であった久世三千子（子爵・久世通章の庶子）と結婚。1917年（大正6年）に長男の重一、1922年（大正11年）に次男の重次が誕生しています。

教育者としては、1924年（大正13年）に京北中学校（現在の東洋大学京北中学高等学校）の教諭、慶應義塾大学予科の教授を経て、旧制武蔵高等学校の教授に就任しました。1942年（昭和17年）8月から1946年（昭和21年）2月まで、息子たちの母校でもある武蔵高等学校の四代目校長を務めました。ちなみに、叔父の山川健次郎も同校の二代目校長を務めています。

1966年（昭和41年）2月21日に79歳で亡くなりました。

教育者としての活動

山川黙は、旧制武蔵高等学校の校長として、戦中から戦後にかけての激動期における教育に尽力しました。また、その教育活動は、単なる知識の伝達に留まらず、生徒たちの人格形成にも大きく貢献したと言われています。

日本山岳会

山川黙は、日本山岳会の創立発起人の一人として、日本の登山文化の発展に貢献しました。山岳会では、登山技術の向上だけでなく、自然保護や環境問題にも積極的に取り組んだとされています。

家族

妻の三千子（1892年生まれ、1965年没）は、子爵・久世通章の長女として京都に生まれました。1909年から宮中に出仕し、明治天皇、昭憲皇太后に仕え、1914年に退官。翌年、山川黙と結婚しました。晩年には、宮中での生活を回想した著書『女官』を著し、当時の宮廷生活を知る上で貴重な資料となっています。

著書

『女官』 実業之日本社, 1960年
『女官 明治宮中出仕の記』 講談社学術文庫, 2016年7月

参考資料

『新稿 日本登山史』山崎安治・著（白水社・1986年1月31日発行）
帝国秘密探偵社『大衆人事録 東京編』（第13版）、1939年

山川黙は、教育者としてだけでなく、登山家としても、また、良き家庭人としても、多才な人物であったと言えるでしょう。

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