山形県縦断駅伝競走大会

山形県縦断駅伝競走大会：郷土の誇りを繋ぐ、春の風物詩

山形県縦断駅伝競走大会は、山形新聞、山形放送（YBC）、山形陸上競技協会などが主催する、山形県民にとって特別な意味を持つロードレース大会です。地元では「県縦断駅伝」または「縦断駅伝」と略称で親しまれています。

大会の概要

毎年4月27日から29日までの3日間、県内最北端の遊佐町から山形市までの300kmを超えるコースを、選手たちが襷を繋ぎます。1955年、昭和の大合併を記念して始まったこの大会は、町村合併後の新市町村の親睦を深める目的も担っていました。

2015年には第60回大会を迎え、その歴史の長さは「箱根駅伝」には及ばないものの、300km以上の距離を60年以上にわたり継続している駅伝大会としては、世界的にも稀有な存在です。

大会の特徴

春の風物詩: 桜の開花時期と重なり、山形県民にとっては春の訪れを告げる風物詩として親しまれています。
郷土の代理戦争: 県内を11のブロックに分け、それぞれの地域が誇りをかけて競い合う「代理戦争」としての側面も持ち合わせています。
沿道の熱い応援: 大会期間中は、沿道や中継所に多くの観衆が集まり、選手たちに熱い声援を送ります。

出場チーム

現在の出場チームは以下の通りです（第14回大会以降）。各チームにはシンボルカラーの襷が用意されています。

酒田・飽海（濃緑）
鶴岡・田川（黄色）
新庄・最上（藤色）
北村山（薄緑）
寒河江・西村山（紺色）
天童・東村山（水色）
山形（紫色）
上山（橙色）
南陽・東置賜（海老茶）
長井・西置賜（桃色）
米沢（赤色）

大会によっては、関東大学陸上競技連盟所属の大学陸上部が招待されることもあります。

大会コース

大会は3日間にわたって行われ、各日のコースは以下の通りです（第67回大会、2023年）。

1日目: 遊佐〜新庄間 (113.7km)
2日目: 新庄〜長井間 (113.4km)
3日目: 長井〜山形間 (79.9km)

3日間の合計距離は307.0kmに及びます。

各区間には、その土地ならではの景観が広がり、選手たちは美しい自然の中を駆け抜けます。

大会の放送

山形放送ラジオ(YBC)では、開局時からの伝統として、大会期間中はスタートからゴールまで完全生中継を実施しています。かつてはテレビでも最終区間を中心に生中継が行われていました。

大会の歴史と戦績

長年、北村山チームと酒田・飽海チームが優勝を争う構図が続いていましたが、近年は他のチームも力をつけ、混戦模様となっています。

主な戦績は以下の通りです。

最多優勝: 酒田・飽海 (20回)
最多連覇: 南陽・東置賜 (11連覇、第57回〜67回)

大会に参加した著名選手

過去には、円谷幸吉選手や尾方剛選手など、数々の名選手がこの大会に出場しています。

その他の情報

東日本大震災の影響で2011年の第57回大会は中止となりましたが、翌年には復活開催されました。
* 第20区（朝日～白鷹）は「峠越え」と呼ばれ、レースのハイライトとなっています。

山形県縦断駅伝競走大会は、単なるスポーツイベントではなく、山形県民の心を繋ぐ、かけがえのない存在です。

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