山本勝市

山本勝市（やまもと かついち）

生涯と経歴

山本勝市は1896年に和歌山県で生まれ、1986年に亡くなるまでの長い人生を経済学者として、また政治家として歩みました。彼は国際的な視野を持ち、特に社会主義経済について果敢に批判しました。教育者としては和歌山高等商業学校や大東文化大学で教授を務め、経済学の発展に寄与しました。

彼は京都帝国大学の経済学部を卒業後、経済学博士号を取得しました。若い頃は、生活の困窮から多様な職を転々としていましたが、河上肇の『貧乏物語』に触れたことで社会主義や経済学に強い関心を持つようになりました。学びの過程で三高に進学し、最終的には京都帝国大学で河上から指導を受けました。

海外留学と社会主義批判

1925年から1927年までの間に欧州各国に留学し、特にフランスで重農主義に関する研究を行いました。しかし、彼の見解は次第に変化し、マルクス主義への疑問が生じました。社会主義国家を訪問し、そこでも体制の実態に衝撃を受け、結局は社会主義と決別する決断に至ります。帰国後、彼は和歌山高商の雑誌に『社会主義の実現性を疑う』と題した論文を発表し、社会主義の矛盾について議論を呼び起こしました。

経済計算論争と統制経済への批判

1931年の再留学後、山本は帰国し『経済計算：計画経済の基本問題』を執筆しました。この著作では、社会主義経済の非効率性について詳細に論じ、さらにブルックスの研究を引用しながら、経済計算の困難さを明確にしました。彼は、社会主義体制では国家が適切に価格を操作できず、結果として経済運営に失敗することを示しました。これにより、彼は当時の経済理論において重要な議論の契機となりました。

また、山本は政府の経済政策に対する批判も行い、特に社会主義を支援するような動向には毅然と立ち向かいました。1936年以降、国家による価格統制政策、特に北一輝の提案に対しても強く反対の姿勢を示しました。その後も日本政府の経済政策に対して批判的な立場を維持しました。

政治家としての活動

戦後、山本は日本自由党の創設に関与し、国会議員として政治の世界に足を踏み入れます。1946年の選挙では当選を果たし、以降5期連続で衆院議員を務めました。政治家としては、経済政策において自由経済の推進を図り、戦後の日本における経済成長に寄与しました。

山本はまた、自由主義経済の重要性を強調し、政府の過度な介入を批判しました。彼の経済思想は後に、日本の経済政策形成にも影響を与えました。特に、吉田茂や鳩山一郎との政治的闘争の中で、自由経済の必要性を主張し、政界で重要な役割を果たしました。

結論

山本勝市の経歴は、日本の経済学及び政治に対する大きな影響を与えました。彼は経済計算や社会主義批判の分野での重要な論客として活躍し、また政治の舞台でも自由経済の維持と発展に尽力しました。彼の思想や活動は、今なお多くの人々から注目され、大きな評価を受け続けています。

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