山本文男
山本 文男（やまもと ふみお）氏は、1937年9月20日に広島県広島市観音（現在の西区観音）に生まれ、プロ野球選手としてキャリアをスタートさせた後、長年にわたりプロ野球審判員を務め、セントラル・リーグの審判部長も歴任した人物である。
「師匠」あるいは「審判師匠」の通称でも親しまれた山本氏は、審判員として袖番号28を着用した（1988年の番号初採用から1996年の引退まで）。
太平洋戦争中の疎開を経て、広島市立観音中学校を17歳で卒業した山本氏は、当初広島県立広島商業高等学校への進学を予定していた。しかし、広島カープの入団テストに合格したことでプロ入りを決断。17歳という若さでのプロ入りは、「中学生プロ」として注目を集めた。
プロ1年目の1955年シーズンは、打撃投手も兼務しながら公式戦7試合に登板。2勝2敗、防御率2.74という成績を残している。特に同年8月7日、広島総合球場での対国鉄スワローズ戦では、国鉄のエース金田正一投手と投げ合い、9対8のスコアで勝利投手となった。
しかし、惜しくも肩の故障により、プロ入りからわずか3年目の1957年シーズンを最後に現役生活に幕を下ろした。その後は球団職員として球団に留まった。
球団職員を経て、1962年にセントラル・リーグ審判部に入局し、第二の野球人生を歩み始めた。入局から6年目頃には一軍の球審を務めるようになり、1970年代から1990年代前半にかけては球界を代表する審判の一人としてその手腕を発揮した。
1990年には、長年リーグを支えたベテラン審判員が一斉に引退したのに伴い、副部長の経験を経ずに第3代セントラル・リーグ審判部長に就任した。また、同年からはインサイドプロテクターを着用している。
審判としての通算試合出場数は3564試合に及び、これはNPB歴代3位の記録である。さらに、日本シリーズには13回（1973、1975、1976、1978～1980、1982、1983、1985～1988、1990年）、オールスターゲームには6回（1970、1971、1975、1978、1982、1986年）出場しており、うち1978年と1986年のオールスター第2戦では球審を務めた。
日本シリーズでは、チームにとって初の日本一が決定した歴史的な試合で球審として立ち会ったことが二度ある。それは、ヤクルトスワローズが日本一を決めた1978年の第7戦（後楽園球場）と、阪神タイガースが日本一を決めた1985年の第6戦（西武ライオンズ球場）である。特に1978年の試合では、阪急ブレーブスの上田利治監督による長時間（1時間19分）にわたる執拗な抗議が発生した中で球審を務めあげた。
そのほか、1982年・1986年の第1戦、1979年・1983年の第2戦、1987年の第4戦、1976年・1980年の第5戦、1975年の第6戦など、多くの日本シリーズで球審を務めた経験を持つ。広島県出身であることから、広島東洋カープ主催試合で球審を務める姿が印象に残っているファンも多い。
山本氏は、プロ野球史に残るいくつかの特筆すべき試合で審判として関わっている。
完全試合達成試合で、二度球審を務めた経験を持つ。一度目は1968年9月14日、広島市民球場で行われた広島対大洋ホエールズ戦で、広島の外木場義郎投手が達成した際。二度目は1994年5月18日、福岡ドームでの巨人対広島戦で、読売ジャイアンツの槙原寛己投手が達成した際である。ただし、槙原投手の完全試合では、山本氏は二塁塁審を務め、球審は鷲谷亘氏だった。
プロ野球史に残る名場面、阪神タイガースのランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布選手による「バックスクリーン3連発」が飛び出した1985年4月17日の阪神甲子園球場での巨人戦において、球審を務めたことでも知られる。
また、1987年10月19日に後楽園球場で行われた巨人対広島戦で、巨人の吉村禎章選手がカウント間違いから本塁打を放った「2ストライク4ボールからのホームラン」の球審でもあった。この珍事は、スコアボードと手元カウンターのカウント表示の不一致を確認した際に、捕手である達川光男氏がスコアボード表示が正しいとアピールし、そのアピールを受けたまま投手が投球してしまったことでカウントが確定したという、守備側のアピールによって引き起こされたものであった。この試合は消化試合であったため、詳細は大きく報道されなかったが、この本塁打は後楽園球場における公式戦最後の本塁打であり、吉村選手にとってはキャリア唯一のシーズン30本塁打達成となる一打でもあった。
1990年4月7日、東京ドームでの巨人対ヤクルトスワローズの開幕戦で、巨人の篠塚利夫選手が放った右翼ポール際への本塁打がファウルではないかと疑われた、いわゆる「疑惑のホームラン」の際にも球審を務めた。
1994年10月8日、ナゴヤ球場で行われた、中日ドラゴンズと読売ジャイアンツの同率首位決戦（10.8決戦）では三塁塁審を務め、1996年5月1日の中日対巨人戦（ナゴヤ球場）でも球審を務めている。
審判引退後は、関西所属の審判指導員として後進の指導にあたった。現在はマスターズリーグで審判を務めるほか、少年野球教室での指導などで野球に携わっている。
特技はゴルフで、ハンデキャップが0に近いほどの実力を持つという一面も持ち合わせている。
「師匠」あるいは「審判師匠」の通称でも親しまれた山本氏は、審判員として袖番号28を着用した（1988年の番号初採用から1996年の引退まで）。
選手として
太平洋戦争中の疎開を経て、広島市立観音中学校を17歳で卒業した山本氏は、当初広島県立広島商業高等学校への進学を予定していた。しかし、広島カープの入団テストに合格したことでプロ入りを決断。17歳という若さでのプロ入りは、「中学生プロ」として注目を集めた。
プロ1年目の1955年シーズンは、打撃投手も兼務しながら公式戦7試合に登板。2勝2敗、防御率2.74という成績を残している。特に同年8月7日、広島総合球場での対国鉄スワローズ戦では、国鉄のエース金田正一投手と投げ合い、9対8のスコアで勝利投手となった。
しかし、惜しくも肩の故障により、プロ入りからわずか3年目の1957年シーズンを最後に現役生活に幕を下ろした。その後は球団職員として球団に留まった。
審判として
球団職員を経て、1962年にセントラル・リーグ審判部に入局し、第二の野球人生を歩み始めた。入局から6年目頃には一軍の球審を務めるようになり、1970年代から1990年代前半にかけては球界を代表する審判の一人としてその手腕を発揮した。
1990年には、長年リーグを支えたベテラン審判員が一斉に引退したのに伴い、副部長の経験を経ずに第3代セントラル・リーグ審判部長に就任した。また、同年からはインサイドプロテクターを着用している。
審判としての通算試合出場数は3564試合に及び、これはNPB歴代3位の記録である。さらに、日本シリーズには13回（1973、1975、1976、1978～1980、1982、1983、1985～1988、1990年）、オールスターゲームには6回（1970、1971、1975、1978、1982、1986年）出場しており、うち1978年と1986年のオールスター第2戦では球審を務めた。
日本シリーズでは、チームにとって初の日本一が決定した歴史的な試合で球審として立ち会ったことが二度ある。それは、ヤクルトスワローズが日本一を決めた1978年の第7戦（後楽園球場）と、阪神タイガースが日本一を決めた1985年の第6戦（西武ライオンズ球場）である。特に1978年の試合では、阪急ブレーブスの上田利治監督による長時間（1時間19分）にわたる執拗な抗議が発生した中で球審を務めあげた。
そのほか、1982年・1986年の第1戦、1979年・1983年の第2戦、1987年の第4戦、1976年・1980年の第5戦、1975年の第6戦など、多くの日本シリーズで球審を務めた経験を持つ。広島県出身であることから、広島東洋カープ主催試合で球審を務める姿が印象に残っているファンも多い。
エピソード
山本氏は、プロ野球史に残るいくつかの特筆すべき試合で審判として関わっている。
完全試合達成試合で、二度球審を務めた経験を持つ。一度目は1968年9月14日、広島市民球場で行われた広島対大洋ホエールズ戦で、広島の外木場義郎投手が達成した際。二度目は1994年5月18日、福岡ドームでの巨人対広島戦で、読売ジャイアンツの槙原寛己投手が達成した際である。ただし、槙原投手の完全試合では、山本氏は二塁塁審を務め、球審は鷲谷亘氏だった。
プロ野球史に残る名場面、阪神タイガースのランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布選手による「バックスクリーン3連発」が飛び出した1985年4月17日の阪神甲子園球場での巨人戦において、球審を務めたことでも知られる。
また、1987年10月19日に後楽園球場で行われた巨人対広島戦で、巨人の吉村禎章選手がカウント間違いから本塁打を放った「2ストライク4ボールからのホームラン」の球審でもあった。この珍事は、スコアボードと手元カウンターのカウント表示の不一致を確認した際に、捕手である達川光男氏がスコアボード表示が正しいとアピールし、そのアピールを受けたまま投手が投球してしまったことでカウントが確定したという、守備側のアピールによって引き起こされたものであった。この試合は消化試合であったため、詳細は大きく報道されなかったが、この本塁打は後楽園球場における公式戦最後の本塁打であり、吉村選手にとってはキャリア唯一のシーズン30本塁打達成となる一打でもあった。
1990年4月7日、東京ドームでの巨人対ヤクルトスワローズの開幕戦で、巨人の篠塚利夫選手が放った右翼ポール際への本塁打がファウルではないかと疑われた、いわゆる「疑惑のホームラン」の際にも球審を務めた。
1994年10月8日、ナゴヤ球場で行われた、中日ドラゴンズと読売ジャイアンツの同率首位決戦（10.8決戦）では三塁塁審を務め、1996年5月1日の中日対巨人戦（ナゴヤ球場）でも球審を務めている。
引退後と人物
審判引退後は、関西所属の審判指導員として後進の指導にあたった。現在はマスターズリーグで審判を務めるほか、少年野球教室での指導などで野球に携わっている。
特技はゴルフで、ハンデキャップが0に近いほどの実力を持つという一面も持ち合わせている。
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