山本發次郎

山本發次郎の生涯と美術コレクション

生い立ちと家族背景
山本發次郎（やまもとはつじろう、1887年5月1日 - 1951年9月30日）は、日本の実業家として知られるだけでなく、美術品の収集家としても名を馳せました。彼は岡山県上房郡北房町（現在の真庭市）に生まれ、家柄は水田村の庄屋という伝統的なものでした。父は戸田嘉平であり、三男として生を受けました。地元の旧制岡山県立高梁中学に進学し、そこでは多くの著名人とともに学びました。

その後、東京高等商業学校に進学し、1908年に卒業しました。卒業後は鐘淵紡績で働き、ビジネスの世界に身を投じることになります。発次郎は、先代の山本發次郎の養子となり、1920年に家督を相続し、2代目の発次郎となります。彼は山発商店を継承し、企業を発展させます。


事業と美術収集のきっかけ
発次郎はビジネスの成功に伴い、美術品の収集に興味を持ち始めました。彼は1922年にヨーロッパを訪問し、その際に美術品の収集を開始しました。自宅を新築し、そこに飾る作品を探すことがきっかけだったとされています。特に墨蹟や禅画といった作品を好み、自身の好みに合った個性的な作品を多く集めました。

プライベートでは、高梁中学の後輩である赤木桁平とも親しい関係を築き、美術品についての情報を共有していました。しかし、第二次世界大戦中にはアメリカ軍による爆撃で多くのコレクションが失われてしまいました。それでも、発次郎は関西地区での美術収集家として名を馳せていきました。


美術館への夢とその実現
山本發次郎は特に佐伯祐三の作品に注目し、彼の油彩画を多く収集しました。彼のコレクションは書画から始まり、洋行後は西洋画にも関心を持つようになります。1937年には発次郎所蔵の佐伯祐三遺作展を開き、この展覧会では彼の蒐集品に関する書籍も発行されました。しかし、戦争により彼のコレクションの一部は失われてしまいました。

彼は単なるコレクターにとどまらず、収集品を一般に公開し、美術館の設立を望んでいました。生前にはその夢を実現することはできませんでしたが、彼の遺族は彼のコレクションを大阪市に寄贈しました。その後、大阪中之島美術館が2022年に開館し、発次郎の夢が叶う形となりました。


家族と子孫
山本發次郎は家族を大切にし、妻のはなを支えとして生活していました。彼の子どもたち、長男の海一、長女の芳子、次男の清雄、次女の美代子もそれぞれの道を歩んでいます。特に次男の清雄は遺族代表として父の美術品を寄贈し、家庭内でも美術に対する意識を大切にしていました。

また、孫にあたる河﨑晃一は、甲南大学の教授として活躍し、兵庫県立美術館の館長補佐を務めていることでも知られています。こうして、山本發次郎の影響は世代を超えて受け継がれています。

まとめ
山本發次郎は日本の実業界と美術収集の分野で多大な影響を及ぼしました。彼の生涯は成功と悲劇が交錯するものであり、そのコレクションは今も多くの人々に愛され続けています。彼の熱意とビジョンは、大阪中之島美術館の開館という形で歴史に刻まれ、今後も多くの人々に触れられることでしょう。

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