山本美保 (拉致被害者)

山本美保の失踪事件

山本美保（やまもとみほ、1964年3月3日生まれ）は、1984年に行方不明となった日本の女性であり、北朝鮮による拉致被害者と考えられています。特定失踪者問題調査会によって「拉致濃厚」とされています。彼女が失踪したのは、20歳の時で、失踪の日は1984年6月4日でした。

生い立ちと人物情報

山本美保は山梨県甲府市に生まれました。父は山梨県警察の警官、母は専業主婦という家庭で育ち、彼女は双子の姉として、2歳年上の兄と共に育ちました。美保は積極的な性格で、双子の妹・美砂は慎重で何かと美保を頼りにしていました。

高校生活の中で、兄を交通事故で失うという悲しい経験をしました。美砂は大学進学を果たしましたが、美保は家族に配慮して進学を断念し、看護学校に通うことを選びました。その後、大学進学のために再度受験勉強に励むことを決意しました。

失踪の経緯

1984年の6月4日、美保は「図書館に行く」と告げて自宅を出発し、そのまま行方不明となりました。6月6日には彼女が乗っていたオートバイが甲府駅前に abandonedされていたことが発見され、家族や警察に不安が広がりました。さらに、失踪4日後には、彼女の所持品が新潟県の海岸で見つかり、警察に捜索願が提出される事態となりました。

美保の失踪から約6ヶ月後、無言電話が続くことに家族は驚きました。この無言電話は1989年まで続き、その中には、美保と考えられる声が聞こえたこともあったとされています。

拉致の可能性と証言

2002年に小泉純一郎首相が北朝鮮と会談した際、政府は拉致の存在を認める動きがあり、山本美保の失踪も全国ニュースで取り上げられました。それ以来、家族は彼女の行方を追い求め続けました。

1999年には北朝鮮から亡命した権革（クォン・ヒョク）が、美保を見たという証言をしています。彼の証言は失踪から9年後の1993年に遡るもので、この証言は家族にとって大きな希望となりました。

DNAデータ偽造事件

2003年、特定失踪者問題調査会が設立され、美保は拉致疑惑のある失踪者として登録されました。しかし、その年の3月に父が亡くなり、家族の苦境は続きました。2004年には、山梨県警察から美保のDNA鑑定に関する情報が伝えられ、一致したとの報告がありました。しかし、遺体の特定には疑問が残り、美保の家族はこれを受け入れられずにいました。

DNA鑑定の詳細は公開されず、家族の証言や証拠からは、別人である可能性が指摘されています。家族は「山本美保の家族を支援する会」を立ち上げ、彼女の人権救済を求める活動を続けています。現在も山梨県警察は彼女を拉致可能性のあるケースとして扱っており、その行方は未だ不明です。

このように、山本美保の失踪事件は多くの謎を抱えたまま、今も多くの人々の心に刻まれています。

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