山本若麟

山本若麟（やまもと じゃくりん）は、享保6年（1721年）に生まれ、享和元年（1801年）に没した江戸時代中期・後期の絵師であり、長崎漢画派の一人として知られています。

本名は長昭、字は蘭栄といい、通称は丹次郎でした。若麟、瑞翁、温故斎、魯石、長英など、多くの号を用いています。彼は絵師である河村若元の長男として生まれ、弟には同じく絵師である芦塚若鳳がいます。

若麟は幼い頃から父である若元に絵を学び、特に虎の絵を得意としました。その卓越した技術は高く評価され、唐館公用支配人という役職を務めるほどでした。

彼の画才は子孫にも受け継がれ、息子の牛島若融、上野若瑞もまた絵師として活躍しました。さらに、若瑞の子である上野若龍も絵師となり、その次男は、日本における写真術のパイオニアとして知られる上野彦馬です。このように、山本若麟の血筋は、絵画の世界だけでなく、日本の写真史にも大きな影響を与えました。

彼の作品は、長崎の地で育まれた漢画の伝統を受け継ぎながらも、独自の表現を追求したものであり、江戸時代の美術史において重要な位置を占めています。

参考文献

成澤勝嗣「物はやりの系譜」（神戸市立博物館編集 『隠元禅師と黄檗宗の絵画展』 神戸市スポーツ教育公社、1991年、pp.98-105）
佐野美術館編集　『長崎系南画展』 1984年

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