山本麻衣

山本 麻衣

日本の女子バスケットボール選手、山本 麻衣（やまもと まい）は、1999年10月23日生まれのガードとして、国内外で注目される存在である。現在はWリーグの強豪、トヨタ自動車アンテロープスに所属。高いレベルの個人能力に加え、バスケットボール日本代表として、5人制（5x5）および3人制（3x3）の両方で国際経験を積み、多くの実績を残している。

スポーツ一家に育ち、バスケットボールへ

山本は広島県広島市安佐南区のスポーツ一家に生まれた。父は元バレーボール選手、母は元実業団バスケットボール選手という環境で育ち、スポーツに親しんだ。2歳上の姉、山本加奈子もかつて3x3のプロ選手としてプレーしており、弟も高校野球で甲子園に出場するなど、家族全体がアスリートという稀有な背景を持つ。

競技としてのバスケットボールとの出会いは、広島市立川内小学校に通っていた1年生の時。当初はバレーボールに触れていたが、口田東ミニバスケットボールクラブでの経験を通じてバスケの道に進むことを決めた。小学5年生の時には、姉が愛知県のバスケ強豪中学に進学するのに伴い、家族で愛知県へ転居。新たな環境でバスケットボールを続けた。

全国制覇を重ねた学生時代

愛知県に移ってからも、山本は才能を開花させた。昭和ミニバスに所属した小学6年生時には、全国ミニバスケットボール大会で優勝を経験。中学でもその実力は際立ち、2年生時には全国中学校バスケットボール大会を制覇。3年生時には準優勝ながらも優秀選手に選ばれるなど、中学生年代のトッププレイヤーとしての地位を確立した。

高校はバスケットボールの名門、桜花学園高等学校へ進学。入学直後からスターティングメンバーに抜擢され、チームの中心選手となる。1年生時にはインターハイと国民体育大会で優勝。ウィンターカップでは準決勝で姉のチームとの「姉妹対決」を制したが、惜しくも準優勝に終わった。高校2年生時には、インターハイ、国民体育大会、ウィンターカップという高校バスケットボールの主要タイトル全てを制し、「三冠」を達成。高校3年生時は無冠に終わったものの、ウィンターカップで2年連続の優秀選手に選ばれるなど、高校界屈指の選手としての評価を確固たるものにした。

プロの世界へ、トヨタ自動車での活躍

高校卒業を前に、山本はWリーグへの扉を開いた。2018年1月、トヨタ自動車アンテロープスにアーリーエントリーで加入。プロの舞台にもスムーズに適応し、チームの主力として活躍を見せる。特に2020-21シーズンには、チームにとって記念すべきWリーグ初優勝に大きく貢献した。所属チームでの着実な成長は、日本代表での飛躍に繋がる礎となった。

バスケットボール日本代表としての国際経験

山本麻衣のキャリアにおいて、日本代表としての国際大会での活躍は非常に重要である。学生時代から各年代の日本代表に選ばれており、2016年のFIBAアジアU-18選手権では、自身より年上の選手が多いチームでポイントガードとしてプレーし、準優勝に貢献した。

フル代表（5x5）には、2021年8月に初めて選出されると、同年開催のFIBA女子アジアカップで日本の5連覇に貢献。2022年のアジアカップでは、チームは優勝を逃したが、山本は全試合に先発出場し、アシスト王と大会ベスト5に選ばれるなど、個人として傑出した成績を残した。そして、2024年2月のパリオリンピック世界最終予選では、日本代表の出場権獲得に貢献し、自身も大会MVPに輝くという快挙を達成した。

3x3での世界制覇とオリンピック出場

山本は3人制バスケットボール（3x3）の世界でも目覚ましい成果を上げた。3x3への取り組みは2018年7月からと比較的新しいが、その適応力は高く、すぐにU-23の日本代表に選出される。FIBA 3x3 U23ワールドカップでは、2018年に準優勝を経験した後、翌2019年の大会で前年の雪辱を果たし、見事優勝を飾った。この大会での活躍は特に際立っており、MVPとベスト3、さらにはシュートコンテストでも優勝。このU-23ワールドカップ優勝は、5人制・3人制を通して日本勢として初めてのFIBA主催世界大会制覇という歴史的な出来事だった。3x3でのそのプレイと人柄は、海外選手やファン、FIBA関係者からも高く評価され、人気を集めた。

2021年には東京オリンピックの出場を目指し、予選に出場。これを突破し、日本代表は3位で出場権を獲得した。FIBA公式サイトがオリンピック直前に注目選手として特集するなど、国際的な知名度も上昇。迎えた東京オリンピック本番では、予選ラウンドを突破し決勝トーナメントに進出。準々決勝で敗れ最終的に5位となったが、予選リーグで優勝国アメリカに唯一の黒星をつけた試合では、山本がチーム最多得点を記録するなど、強烈な印象を残した。

プレースタイルと今後の期待

山本麻衣のプレースタイルは、スピードとフィジカルの強さを活かしたドライブ、そして高精度な3ポイントシュートが特徴である。「Number」誌には「精度の高い3Pやフィジカルの強さを活かしたドライブ力、どんな場面でもひるまない度胸の良さは日本屈指」と評されている。身長が大きくないガードでありながら、強気なアタックと優れた判断力でチームを牽引する。

学生時代からプロ、そして5x5と3x3の両日本代表として、国内外の舞台で数々の実績を積み重ねてきた山本麻衣は、日本の女子バスケットボール界にとって非常に重要な選手である。今後もさらなる進化を続け、チームと日本代表を勝利に導く活躍が期待される。

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