山村工作隊

山村工作隊の概要

山村工作隊（さんそんこうさくたい）は、1950年代前半に日本共産党が非合法かつ極左の武装闘争を追求するために結成した組織です。特に、ソ連共産党のスターリンと中国共産党の劉少奇の指導の下、サンフランシスコ平和条約の施行前後に活動を始めました。この隊は、中国共産党が毛沢東の指導により亡命政権から中華人民共和国を樹立したことに触発されたものでしたが、日本国内では支持を得ることができませんでした。結果的に、日本共産党の候補者全員が総選挙で落選するなどの反発を招きました。

背景

1949年11月、中国共産党の劉少奇は、武装闘争の手法をアジア全体に広げる意義を強調しました。この考えは、スターリンとの相談を経て確立されたものです。その後、1950年6月の第2回参議院議員通常選挙で、日本共産党から3名が当選し、これを契機に日本での政治的弾圧が強まることとなります。マッカーサーは公職追放を指示し、特定の中央委員は弾圧されました。この状況を受けて、党内の指導層は新たな運動を開始しました。

非公然組織の設立

山村工作隊は、弾圧の後の党内の分裂を克服するために結成されました。1951年2月には、中国共産党の抗日戦術を模倣する方向性が示され、農村地域に「解放区」を設立する方針が決定されました。このようにして、武装闘争を前提とした組織がいくつか創設され、山村工作隊もその一部として位置づけられました。

武装闘争とその限界

山村工作隊は農村部での活動を行いましたが、その闘争方針は地域の実情と乖離しており、住民の支持を得ることは困難でした。医療班の巡回診療は一定の支持を受けましたが、それ以外の文化活動は反発を招きました。その結果、1952年10月の総選挙で共産党候補者全員が落選するという厳しい結果に至りました。

自己批判と再編

1955年1月、日本共産党は山村工作隊による武装闘争を「極左冒険主義」として自己批判し、方針転換を図りました。この過程で、多くの参加者が失望を感じましたが、党は新たな方針に従う意思がある者は排除しない姿勢を示しました。一方で、これに対抗する形で新左翼が誕生する契機となりました。

消滅と影響

山村工作隊の活動は、警察の取り締まりによって消滅していきました。残されたメンバーは自活を目指しましたが、日本共産党からの支援が得られず、多くは自然消滅していきました。運動に参与した者たちの回想は、後の新左翼運動に影響を与えることがありました。

結論

山村工作隊は日本共産党の歴史の中で特異な存在であり、当時の国際的な背景と国内政治の複雑さを反映していました。その活動は結果として失敗に終わりましたが、当時の共産主義運動の動向を理解する上で重要な事例といえます。

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