山東懸案解決に関する条約

山東懸案解決に関する条約

山東懸案解決に関する条約は、1922年2月4日に日本と中華民国の間で締結され、同年6月2日に発効した重要な国際条約です。この条約は、第一次世界大戦の結果、日本がドイツ帝国から獲得した山東省に関連する権益や資源の扱いについて合意されました。

背景

1897年、ドイツ帝国は山東省の膠州湾を占領し、ここに99年間の租借権を得るとともに、鉄道敷設権や鉱山採掘権を獲得しました。その後、ドイツは青島港の税関長や税関職員をドイツ人にする権利も得るなど、山東省は完全にドイツの勢力圏となりました。しかし、1914年に第一次世界大戦が始まると、日本は日英同盟を理由に対独参戦し、すぐに膠州湾とその周辺の地域を占領しました。

日本はこれ以前から、ドイツの権益を中国に還付したいという名目を掲げましたが、実際の意図は日本自身の権益を強化することにありました。膠州湾の占領に続く外交交渉は、山東省の権益を巡る日本と中華民国間の紛争に発展しました。この交渉は「対華21カ条要求」として知られています。

条約の内容

1922年、ワシントン会議を経て、山東懸案解決に関する条約が結ばれました。この条約では、山東省におけるドイツからの権益を日本が受け継ぐことが認められ、山東鉄道の返還や、膠済鉄道沿線の鉱山の共同管理が定められました。具体的な内容としては、以下の条項が含まれました：

1. 山東鉄道の返還 - 日本は山東鉄道を中国側に返還することが決定されたが、一部の条件が付けられました。
2. 鉱山の運営 - 膠済鉄道沿線の鉱山に関しては、日中合弁会社の経営に移ることが定められました。
3. 青島税関の管理権の返還 - 日本側は青島での居留地設置を求めない代わりに、中国に青島税関の管理権を返還しました。
4. 日本軍の撤退 - 条約発効後、日本は山東省から自国の軍を撤退させることが義務付けられました。

実施過程

1922年12月、山東懸案細目協定と山東懸案鉄道細目協定が調印され、これにより日本軍の撤退や、所有権の返還が進められました。1923年1月1日には条件付きで山東鉄道が中国側に返還されました。しかし、条約後も日本の権益は完全には守られず、「誠意のない」とされる中国政府の対応や、国民党の民衆運動による排外的な動きが影響を及ぼしました。

特に外国人が青島市政に参与する権利が拒絶されるなど、条約の実施には多くの困難がありました。それでも山東鉱業は1933年まで活動を続けていたことが知られています。

まとめ

山東懸案解決に関する条約は、日本と中華民国間の権益や資源の取り扱いに関する重要な合意でしたが、実際の実施には多くの課題がありました。この条約は戦後の国際関係に影響を及ぼし、地域の政治状況に深い足跡を残すこととなりました。

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