山沢和三郎

山沢和三郎は、1895年（明治28年）1月5日に新潟県西頸城郡糸魚川町（現在の糸魚川市）に生まれました。彼の経歴は、官僚、弁護士と多岐にわたります。

学歴としては、第三高等学校を卒業後、1918年（大正7年）10月に高等試験行政科に合格。翌1919年（大正8年）に東京帝国大学法学部独法科を卒業しています。

卒業後、山沢は朝鮮総督府に入り、試補としてキャリアをスタートさせました。その後、事務官、京畿道地方課長、同審査課長、咸鏡南道財務部長、全羅南道財務部長、専売局庶務課長、同製造課長、殖産局商工課長、農林局農産課長、総督官房審議室勤務といった要職を歴任しました。これらの役職を通じて、朝鮮における地方行政、財政、産業振興など、幅広い分野でその手腕を発揮しました。

1938年（昭和13年）には、慶尚南道知事に就任。その後、農林局長に転じ、朝鮮における農業と林業の発展に尽力しました。1942年（昭和17年）に退官するまでの間、官僚として重要な役割を果たしました。

退官後、山沢は実業界に転身し、東洋拓殖株式会社理事、朝鮮鉱業振興株式会社理事、朝鮮電業株式会社監事を務めました。これらの企業において、経営や事業運営に携わり、朝鮮の経済発展に貢献しました。

戦後、山沢は公職追放となりましたが、その後、弁護士として新たな道を歩み始めました。さらに、神奈川簡易裁判所判事も務め、司法の分野でも活躍しました。没年は不明です。

山沢和三郎は、官僚として朝鮮総督府で多岐にわたる分野で活躍し、退官後は実業界を経て弁護士、裁判官としても社会に貢献した人物です。彼の足跡は、日本の近代史における重要な一部分を物語っています。

参考文献：

『輓近大日本拓殖史』日本行政学会、1934年。
帝国秘密探偵社編『大衆人事録 第14版　外地・満支・海外篇』帝国秘密探偵社、1943年。
人事興信所編『人事興信録 第12版（下）』人事興信所、1939年。
『神奈川年鑑 昭和44年度版』神奈川新聞社、1968年。
* 秦郁彦編『日本官僚制総合事典1868-2000』第2版、東京大学出版会、2007年。

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