山猫 (小説)

『山猫』（やまねこ、イタリア語: Il Gattopardo）

概要

ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサの小説『山猫』は、彼の出自であるシチリアの名門貴族が反映された作品です。作家はこの小説を生前に発表することができず、1958年にようやく彼の死後に刊行されました。この作品は、発刊後の1959年に権威あるストレーガ賞を受賞するほどの評価を得ています。

物語は、1861年に始まり、近代イタリア統一の直前から1883年の主人公の死を経て1910年5月までの約半世紀にわたり、サリーナ公爵家の盛衰を描いています。主人公である公爵は、作家の祖父であるジューリオ・ファブリーツィオ・トマージ・ランペドゥーサがモデルとされ、その背景には深い家族の歴史があります。作品には、当時のシチリアの社会状況や貴族の衰退と変化が織り込まれており、そこに潜む人間の葛藤や時代の流れが生々しく描かれています。

評価

『山猫』は、イタリアの書評紙『Tuttolibri』が実施したアンケートで、過去100年に出版されたイタリアの小説の中で最も好きな作品として1位に選定されました。これは本作品がいかに多くの読者に支持され、深く愛されているかを示す証拠です。

日本語訳

日本語訳は、佐藤朔によるもので1961年に河出書房新社から出版され、その初刊版書評は澁澤龍彦によって書かれました。さらに、河出文庫として1981年、2004年には新装改訂版も出ています。他にも、小林惺による岩波文庫版が2008年に発行され、脇功や武谷なおみによる『ランペドゥーザ全小説』が2014年に作品社より刊行されています。

映画化

1963年には、著名な監督ルキノ・ヴィスコンティにより映画化もされています。この映画は、原作の雰囲気を忠実に再現し、映像美や俳優たちの演技によって作品の魅力を引き立てました。

まとめ

『山猫』は時代を超えて多くの人々に読み継がれる名作です。その深い人間理解や、貴族制度の変遷を描いた視点は、現代の読者にとっても多くの示唆を与えてくれます。貴族社会の魅力と儚さを同時に描いたこの作品は、イタリア文学の中でも特に重要な位置を占めているのです。

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