山田新一郎

山田新一郎

山田新一郎（やまだ しんいちろう）は、1864年（元治元年）に福岡県で生まれ、1946年（昭和21年）に亡くなった日本の教育者、内務官僚、そして神職です。彼は、政友会系の官選鳥取県知事としても知られています。

生い立ちと教育

山田新一郎は、筑前国夜須郡秋月春小路（現在の福岡県朝倉市）で、秋月藩士の山田正修とその妻清の長男として生まれました。彼は幼少期から学問に励み、1886年には杉浦重剛が主宰する称好塾に入塾し、薫陶を受けました。1887年には第一高等中学校を卒業し、さらに1890年7月には帝国大学法科大学法律学科を卒業しました。

官僚としてのキャリア

大学卒業後、山田新一郎は官僚としての道を歩み始めます。1890年7月24日には法制局試補となり、その後、1893年には鹿児島高等中学造士館の教授に就任しました。1895年には静岡県参事官に転任し、その後も広島県参事官、福井県書記官、青森県書記官、法制局参事官兼書記官、大阪府書記官、東京府書記官など、多くの要職を歴任しました。

鳥取県知事としての功績

1906年7月、山田新一郎は鳥取県知事に就任しました。知事として、彼は産業振興に力を注ぎ、特に港湾整備に尽力しました。前任の寺田祐之前知事の計画を引き継ぎ、境港の浚渫を実施したほか、米子港などの浚渫も推進しました。また、耕地整理や果樹の試験栽培も進め、県内の農業発展にも貢献しました。

さらに、1906年11月には、通常県会の冒頭で予算編成方針の説明を行い、これが後の慣例となりました。彼は1908年6月に知事を休職しましたが、その功績は県民に深く記憶されています。

台湾総督府での活動

1908年7月、山田新一郎は台湾総督府民政部総務局長に就任し、台湾の行政にも携わりました。その後、同府参事官に転じ、1910年に休職しました。

神職としてのキャリア

1912年、山田新一郎は皇典講究所の幹事長となり、1917年まで務めました。同年8月11日には、北野神社（現在の北野天満宮）の宮司に任じられ、神社界での活動を始めました。1922年から1924年までは稲荷神社（伏見稲荷大社）の宮司も兼任し、1934年には賀茂別雷神社（上賀茂神社）の宮司に転じ、1936年に退任しました。また、1918年から1942年まで大日本武徳会の常議員も務めました。

栄典

山田新一郎は、その功績が認められ、1903年10月20日に正五位に叙せられ、1910年12月26日には勲三等瑞宝章を受章しました。

著作

山田新一郎は、以下の著作を残しています。

『神社祭祀之意義』全国神職会、1915年。
『原古處先生小史』1916年。
『北野神社社号要誌』1921年。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
山田勝麿他編『山田新一郎 山田テヨ 追想録』複写版（福岡県立図書館所蔵）



山田新一郎は、教育、行政、神社という多岐にわたる分野で活躍し、日本の近代化に貢献した人物として、その名が記憶されるべきでしょう。

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