山田淳

山田淳：七大陸最高峰制覇からアウトドアベンチャー設立へ

山田淳氏は、1979年生まれの日本の登山ガイドであり、かつて七大陸最高峰最年少登頂記録保持者として名を馳せました。兵庫県神戸市出身で、灘中学校・高等学校、東京大学経済学部と、エリートコースを歩んできた経歴を持ちます。高校時代にはワンダーフォーゲル部で登山と出会い、大学入学を機に本格的な高所登山の世界へと足を踏み入れました。

彼の登山キャリアは、1999年のキリマンジャロ登頂から始まります。その後、アコンカグア、マッキンリー、エルブルース、コジウスコと、世界各地の高峰に次々と挑戦。2000年にはわずか数ヶ月の間にこれらの山々を制覇しました。さらに翌2001年には、南極大陸のビンソン・マシフ、そして登攀難易度が高いことで知られるカルステンツ・ピラミッドへの登頂に成功。日本人男性初のカルステンツ・ピラミッド登頂という偉業も達成しています。

そして、2002年5月17日、山田氏の挑戦はクライマックスを迎えます。国際公募隊の一員として、エベレストの北東稜ルートからの登頂に成功。この偉業により、当時23歳9日という年齢で七大陸最高峰登頂の最年少記録を更新。日本人としては6人目の七大陸最高峰制覇者となりました。当時としては画期的な試みとして、世界で初めてノートパソコン「ThinkPad X23」を持ち込み、山頂での起動にも成功しています。

最年少記録達成後、山田氏は登山ガイドとして活躍の場を広げます。富士山やキリマンジャロはもちろんのこと、日本の南北アルプス、ネパール、チベット、マレーシアなど、様々な地域でガイド業務に従事。豊富な経験と高い専門性を活かし、多くの登山家をサポートしました。

その後、山田氏はマッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルタントとしてのキャリアを積みます。世界的な経営コンサルティング会社での経験は、彼のビジネスセンスをさらに磨きました。

しかし、山田氏の挑戦は、登山家としての活動やコンサルタントとしてのキャリアに留まりません。2009年のトムラウシ山遭難事故をきっかけに、彼は新たな挑戦を始めることを決意します。それは、登山人口の増加と安全登山の推進をミッションに掲げたアウトドアベンチャー企業「株式会社フィールド&マウンテン」の設立でした。

2010年2月1日に設立された同社では、登山靴などの登山道具レンタル事業、フリーペーパーの発行、イベント企画サポートなど、多岐にわたる事業を展開しています。この企業設立の背景には、登山における個人の自己責任に全てを委ねるのではなく、経験の浅い登山者にも対応できるインフラ整備の必要性を感じたという強い思いがありました。

山田氏の経験と情熱は、単なる登山家の枠を超え、日本の登山界、ひいてはアウトドア業界全体の活性化に貢献しています。彼の歩みは、挑戦を続けることで人生を切り開いていく、その生き方そのものを体現していると言えるでしょう。2013年には自身の経験をまとめた著書『夢へのルートを逆算せよ! マッキンゼーを辞めてまで、ひとりでアウトドアベンチャーを始めた男の7つの成功ルール』を出版。そこには、彼の成功の秘訣が凝縮されています。彼の挑戦は、これからも多くの人々にインスピレーションを与え続けることでしょう。

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