山田直政

山田 直政（やまだ なおまさ、1949年11月2日 - ）は、岡山県出身の元プロ野球選手（投手）。左投左打。

来歴・人物

プロ入り前

岡山県立岡山南高等学校で本格派左腕として活躍。頑丈な体格を活かし、重い速球と落差の大きいカーブを持ち味とした。高校時代の対外試合では通算12勝4敗を記録。甲子園球場の全国大会への出場経験はなかったものの、県内の強豪校である関西高等学校との試合で、7回まで相手打線を無安打無得点に抑える好投を見せ、読売ジャイアンツ（巨人）、大洋ホエールズ、広島カープといった複数の球団スカウトの注目を集めた。

1967年のNPBドラフト会議において、巨人から4位で指名を受け、入団する運びとなった。

プロ入り後

巨人入団後の1968年シーズン、山田は二軍のイースタン・リーグ公式戦で経験を積んだ。同時に、一軍の練習時には打撃投手として随時チームに帯同していた。同年9月、阪神タイガースとの4連戦（ダブルヘッダーを含む）を甲子園で控えた関西遠征にも帯同し、阪神の左腕エースであった江夏豊対策の打撃練習相手を務めた。この遠征中の9月18日に行われたダブルヘッダー第1試合では、チームは江夏に13三振を喫し、延長12回サヨナラ負けを喫している。また、この試合の7回表には、巨人の3番打者である王貞治が江夏からシーズン354個目の三振を奪われ、当時の日本プロ野球におけるシーズン最多奪三振新記録が達成される場にも立ち会った。

しかし、山田は一軍公式戦での登板機会がないままシーズンを終えた。そして、オフシーズンに当時の二軍監督であった中尾碩志から解雇を通告されるという、異例の事態に見舞われた。解雇に至る詳しい経緯は定かではないものの、一説には、中尾監督が指示した「年末までチームで練習を行う」という方針に対し、二軍選手の間で不満の声が上がっていたところ、山田がその不平を話していたのを、偶然本人が耳にしたことが原因とされている。ただし、山田自身は通告を受ける前日の投球練習で、居合わせた宮田征典から調子の良さを褒められていたという。また、山田の発言内容も、首脳陣への明確な批判というより、若手選手同士の軽い愚痴に近いものだったと伝わっている。

この解雇に対し、山田の獲得に尽力した前川八郎スカウト部長は、その理由が全く理解できないとし、「監督を批判したくらいで解雇などあり得ない。監督の悪口一つ言えないようではプロとは言えない」と、中尾監督の対応を厳しく批判した。さらに、二軍投手コーチとスカウトを兼務していた木戸美摸も、山田の解雇には納得できず、中尾監督を問い詰めたが、翻意させることはできなかった。そのため、木戸コーチは自らの責任において、山田のために他の球団（東京オリオンズやサンケイアトムズ）の入団テストをセッティングした。しかし、山田はいずれのテストにも合格することができなかった。

その後、1969年には中南米で企画されたグローバルリーグに参加予定だった森徹監督率いる東京ドラゴンズに所属することになったが、結局現地へ赴くことなく退団し、そのまま現役を終えることとなった。

プロ生活は短期間で終わった山田だが、後年、巨人時代の一番の思い出として、名古屋遠征中にチームメイトの高田繁と一緒に映画館へ入ろうとした際、高校生料金で入場しようとして見破られてしまったエピソードを挙げている。

現役引退後

プロ野球選手としてのキャリアを終えた後、故郷である岡山へ帰郷した。しかし、最初の2年間は目標を見失い、自堕落な日々を送り酒に溺れる生活を送っていたという。転機が訪れたのは、岡山で偶然再会した元チームメイトの森祇晶（当時の登録名・森昌彦）から厳しい言葉を浴びせられたことだった。この出来事を機に奮起し、心機一転。実家が経営していた縫製工場を継ぎ、経営者としての道を歩み始めた。

詳細情報

年度別投手成績

一軍公式戦出場なし

背番号

46 （1968年）

出典

『江川になれなかった男たち－ドラフト外伝』（岡邦行著、三一書房、1983年、50-72ページ）

関連項目

岡山県出身の人物一覧
* 読売ジャイアンツの選手一覧

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