山路ふみ子

山路 ふみ子の生涯

山路ふみ子（やまじ ふみこ）は、1912年3月13日に兵庫県神戸市で生まれ、2004年12月6日に92歳で逝去した日本の著名な女優、実業家、社会事業家です。本名は大久保ふみ子（おおくぼ ふみこ）であり、多岐にわたる活動で知られています。

若き日と女優デビュー

彼女は森高等女学校（現在の神戸学院大学附属高等学校）に在学中、1930年に神戸新聞社主催のミス神戸に選ばれ、その後、大阪松竹楽劇部を経て、帝国キネマ演芸株式会社に入社。映画『時代の反抗児』で華々しくデビューし、一気に看板スターとして名を馳せ、雑誌や広告にも登場しました。ただし、演技力については当初あまり評価されていませんでした。

芸名「山路ふみ子」の由来は、菊池寛の小説『結婚二重奏』のヒロインの名前で、菊池自身から名付けられました。

映画界からの引退と実業家への転身

その後、彼女は日活を経て新興キネマに復帰し、多くの映画に主演。映画主題歌もレコーディングしました。しかし、戦後の1949年、『暁の大地に咲く』に出演したのを最後に映画界を引退。東京都港区芝公園にて料亭「山路」を母親と共に経営する実業家に転身しました。
女将として活躍し、料亭は繁盛しましたが、1964年、母の目の病気を理由に廃業。その後、持っていた土地と建物を売却し、得た私財の半分以上にあたる一億円を基金として寄付し、「山路ふみ子自然科学振興財団」を設立。これは、母からの教え「お金は人様のために使わなくては」という言葉に基づいています。

社会事業家としての活動

1963年には東京都善行銅賞を受賞し、同年に「中央公論・婦人公論」から最高殊勲夫人に選ばれました。さらに1972年には藍綬褒章を受けるなど、その功績が評価されました。1976年には文化活動を支援する「山路ふみ子文化財団」を設立し、映画人を育成し、教育・文化・福祉事業への支援を行うために、自らの私財を投じました。毎年7部門に50万円の賞金を授与し、ネパールには職業訓練学校を寄付するなど、慈善活動は国内外に広がりました。

人生の転機とその後

1978年、母の死去により深い悲しみに襲われ、酒に溺れる日々を過ごしましたが、くも膜下出血で倒れた際には奇跡的に生還。その後も車椅子を利用しながら活動を続けました。1993年にはネパールから勲章を受章し、彼女の国際的な影響力が顕著になりました。

最期と思い出

2004年12月6日、心不全により92歳でこの世を去りました。彼女の豊かな人生と多様な業績は、今も多くの人々に影響を与え続けています。山路ふみ子の名は、ただ女優としてではなく、社会事業家としても広く知られるようになり、後世の人々に尊敬されています。

主な出演作品

映画界の作品としては、1930年の『時代の反抗児』や『神戸行進曲』、1934年の『花嫁寝台列車』、1940年の『太平洋行進曲』など、多数の作品に出演しました。彼女のキャリアは多岐にわたり、映画界の重要な一部を担いました。彼女の影響は今なお日本の文化と社会に息づいています。

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